社員口コミで男女とも制度利用進む
ズコーシャ(本社・帯広)は7月、厚生労働省から育児・仕事の両立に取り組む企業「くるみん」認定を受けた。十勝管内の建設業界では初認定となる。2017年度から育児と仕事の両立支援制度を実施。総務部の小森利通部長は「社員の口コミなどから男女とも制度の利用が進み、企業文化と呼べるほど浸透してきた」と成功の秘訣(ひけつ)を語る。

認定書と支援制度資料を手にする小森部長(左)と松原主任
くるみんは行動計画を策定した企業のうち、一定基準を満たすとロゴマークを商品や求人票に付けられる。道内の認定は50社、うち十勝は5社目となる。
同社は育児や介護を理由に退職する社員がいたため、16年度から家庭と仕事を両立して働き続けられる環境づくりに着手。フレックスタイム制導入や時間単位の有給休暇取得など独自の取り組みを進めている。
くるみんに関する行動計画では、一連の取り組みから母性健康管理や育児支援制度が充実。男性でも育休取得が4割を超えている。背景には分かりやすい制度周知と風通しの良い企業体質がある。
総務部の松原亜衣子主任は、独自の育児支援制度を一枚の紙にまとめた。妊娠期から出産、小学校卒業に至るまでの男女別で使える休暇制度を見やすく整理して社内に周知。本人だけでなく、サポートする上司や同僚も制度への理解が深まった。さらに利用者からの口コミが次の利用者を生み、全社規模で増加した。
松原主任は「社内に理解ある人が増えたので、利用することに抵抗を持つ人は少ない。女性だけでなく、自発的に取得する男性も増えている」と話す。
育児休暇は通常、期間中に出社しない場合が多い。だが同社は長めの休暇を申請しつつ、自分のペースで出社が可能。家庭と仕事を両立しつつ、職場復帰しやすい環境づくりをしている。
相談体制も充実する。収入の問題などから育休取得を迷う社員には給付金などの制度を紹介。育休中は希望者に家庭訪問をし、母親の先輩社員から悩み相談を受けるなどコミュニケーションを図る機会をつくった。小森部長は「コロナ禍で中断しているが、以前は育児者懇談会で社内の父親、母親のコミュニティーづくりもしていた」という。
近年は人材確保の面でも効果が出ている。離職率低下だけでなく、求人の応募者は1.5―2倍に増加。男女比は同程度で、家族からの勧めで志望した人もいる。
同社では、さらなる働き方改革を進める考えだ。フレックスタイムで必ず就業しなければならないコアタイムの短縮・撤廃を目指し、より柔軟な働き方を実現する。このほかテレワークの拡大や短時間正社員制度導入、定年制見直しなど、社員が生き生きと働ける環境づくりを進める。