テレビの学園ドラマでこんなシーンを見たことはないだろうか。舞台はごく普通の中学校である
▼学級に口は達者だが、クラスメートからは少々余され気味の生徒がいた。ある日、教師が授業中にちょっとした失敗をしてしまう。くだんの生徒はここぞとばかりにその失敗をあげつらい、しつこく攻め立てる。教師が自らの行為と責任ある立場から、激しく言い返してこないことを分かった上での一方的な「口撃」だ。周りはまた始まったとばかりに、冷めた目で眺めている。生徒はいつも何かというと教師に突っかかっていき、鬼の首でも取ったような顔で意気揚々としているのだ。そんな周りが全く見えていない感じが、今風に言うと実に「痛い」
▼まさか国会でも、その生徒のような「痛い」シーンが繰り広げられるとは思わなかった。5日の衆院本会議での、泉健太立憲民主党代表の質問である。職務上答弁することができない細田博之議長に、旧統一教会との接点についてしつこく問いただしたのである。答えられないのを知っていてあえてやっているのだから、細田議長を困らせ、一部の同調者を喜ばせる以外の意味はない。心ある国民の目にそれがどう映るかなどお構いなしなのだろう。かの生徒と一緒である
▼泉代表がひと言も発せない細田議長に対し、後ろの議長席を振り返ってまでも執拗(しつよう)に食い下がる光景はドラマというより、もはや三文芝居。泉代表らはこれで溜飲を下げたかもしれない。ただ、一国民としてはひと言述べさせていただきたい。そこは中学ではない。国会だ。