時々無性にふりかけご飯が食べたくなる。口の中に広がる複雑なうまみ。ふりかけのサクサクとご飯の柔らかさが合わさった絶妙な食感。茶碗一つで完結する様式も潔い
▼元祖は大正初期にフタバ(熊本)が出した「御飯の友」だという。日本人のカルシウム不足を補うため魚の骨を粉にして食べることを思いついたらしい。『ふりかけ 日本の食と思想』(熊谷真菜+日本ふりかけ懇話会、学陽書房)に教えられた。その作り方はというと、「小魚を姿のまま乾燥し粉末となし、それを調味して、ゴマ、ケシの実、青のり等を加え魚臭さを消し」ていたのだとか。魚嫌いの人でも手軽に栄養を取れる、いわば健康食品のようなものだった。今では種類も多く、どれにしようか選ぶのに苦労するくらいである
▼ふりかけという独自の食文化が発達したのも、日本においしいご飯があったからこそ。その点では米の生産量が新潟に次ぎ全国2位の本道も大きく貢献している。おいしさも他県の銘柄米に引けをとらない。ことしも出来は良かったようだ。道農政事務所が先週発表した2022年産水稲の予想収穫量は、10㌃当たり590㌔(9月25日現在)。ここ10年で最高だった昨年に次ぐ豊作である
▼ウクライナ危機で小麦が高騰しているため、日本では最近、米食への回帰や米粉活用の動きが出ている。米の消費拡大と世界の食料不足解消に向け一石二鳥の取り組みでないか。「御飯の白さ胡麻塩ふりかけていただく」種田山頭火。当方はやはり丸美屋の「のりたま」か。新米にかけるといくらでも食べらさる。