解散命令要求

2022年10月20日 09時00分

 元高校教師の水谷修さんは深夜の盛り場や公園でたむろする若者たちに声を掛け、更生に導く活動を長年続けている。「夜回り先生」の名をご存じの人も多いだろう

 ▼若者たちの薬物汚染に関するこんな言葉が印象に残っている。「薬物乱用に対する罰則を強化したとしても、薬物乱用を生み出す社会の問題を解決しない限り、次から次へと法の網をかいくぐって脱法ドラッグなどの新しい薬物が作り出されるだけ」。法的罰則の強化で問題は解決しないというのである。『ドラッグ世代』(太陽企画出版)に記していた。マスコミに押されるようにして今、国会審議が進む旧統一教会系宗教法人への解散命令請求の問題もこれと似ているのでないか

 ▼つぼや塔などを常識外れの高額で売る「霊感商法」や客観的な思考力を奪う「洗脳」を知る世代として、旧統一教会のしてきたことに厳しい目が向けられるのは理解できる。ただ、もし解散させたとしても、法人がなくなるだけで教義がなくなるわけではないのだ。水谷先生がドラッグで指摘したのと同様、その教義を信奉する集団が法の網にかからない形で数多く作り出されるだけかもしれない。憲法が保障する信教の自由に国が直接手を突っ込みかねない懸念も拭えない。他の宗教団体にも少なからぬ影響が出よう

 ▼国会で論議されているもう一本の柱、被害者救済のための消費者契約関連法改正をまず形にすべきだろう。勧誘の違法性の見直しや、支え合う社会の仕組みづくりも重要である。宗教に依存するしかない個人を救うことなしに解決は望めない。


ヘッドライン

ヘッドライン一覧 全て読むRSS

e-kensinプラス入会のご案内
  • 川崎建設
  • 東宏
  • 北海道水替事業協同組合

お知らせ

閲覧数ランキング(直近1ヶ月)

おとなの養生訓 第245回 「乳糖不耐症」 原因を...
2023年01月11日 (1,395)
函館―青森間、車で2時間半 津軽海峡トンネル構想
2021年01月13日 (1,264)
おとなの養生訓 第43回「食事と入浴」 「風呂」が...
2014年04月11日 (1,233)
アルファコート、北見駅前にホテル新築 「JRイン」...
2024年04月16日 (1,117)
藻岩高敷地に新設校 27年春開校へ
2022年02月21日 (835)

連載・特集

英語ページスタート

construct-hokkaido

連載 おとなの養生訓

おとなの養生訓
第258回「体温上昇と発熱」。病気による発熱と熱中症のうつ熱の見分けは困難。医師の判断を仰ぎましょう。

連載 本間純子
いつもの暮らし便

本間純子 いつもの暮らし便
第34回「1日2470個のご飯粒」。食品ロスについて考えてみましょう。

連載 行政書士
池田玲菜の見た世界

行政書士池田玲菜の見た世界
第32回「読解力と認知特性」。特性に合った方法で伝えれば、コミュニケーション環境が飛躍的に向上するかもしれません。