地域活性化の起爆剤に
近年、十勝管内で新たな道の駅施設が続々と誕生している。2020年に上士幌町が新築、ことし4月には音更町が移転開業した「おとふけ」をオープン。わずか5カ月で100万人が来場する人気施設となった。道路利用者の休憩や情報発信機能だけでなく、特産品の直売所など地域活性化の起爆剤としての期待も高い。さらに4町が新設を構想していて、整備計画に注目が集まる。
道の駅は1993年に運用開始。当初は全国103カ所だったが、ことし8月時点では1198カ所に拡大した。うち道内は127カ所で、振興局別ではオホーツクが21カ所で最も多く、続く十勝は16カ所となっている。
十勝では93年の「忠類」と「足寄湖」(22年1月廃止)の登録を皮切りに各地で登録が進んだ。音更町、士幌町、鹿追町では町内2カ所の道の駅を抱える。それぞれ地域の個性を生かした特産品の販売や情報発信を展開。特に中札内村の「なかさつない」は、十勝総合局の管内観光入り込み客数調査で他の人気観光施設を抑えて毎年トップとなっている。
旧施設の老朽化で移転した「おとふけ」は、管内9店の飲食店が人気の要因。コロナ禍でも多くの観光客が訪れ、フードコートを増築する可能性も出てきた。波及効果により周辺道の駅の来場者も軒並み増加した。
今後の整備を見据える町もある。新得町は道東自動車道に新設する仮称・新得スマートIC、新得PAの隣接地に延べ1000m²程度の規模で新築する。高速道路からの一時退出・再侵入を可能とし、基本構想ではレストランやオートキャンプ場を設置。本年度は地下水源調査を進めている。
清水町は清水地区と御影地区を候補に2カ所の道の駅新設を構想。16年夏の台風で被災した経験から防災機能に特化した施設を模索する。池田町は21年、利別南町1にある沖田コンクリート旧池田支店跡地を購入。隣接する町有地と一体的な活用ができ、国道242号や道道利別牛首別線に面するため建設候補地に位置付けている。広尾町では、24年度着工予定の防災公園敷地内に交流拠点施設建設を計画。将来的に道の駅機能を追加する考えだ。
新設以外では、鹿追町の「しかおい」が町の進めるゼロカーボン施策の象徴施設とするため、増築か改築を検討。士幌町の「しほろ温泉」は老朽化による大規模改修を計画する。
整備方針がないのは帯広市、芽室町、豊頃町の3市町。設置について議会で話題になったこともあるが、それぞれ道の駅に代わる駐車場の広い直売所があるため消極的だ。
一方、十勝の東西を結ぶ国道38号は7市町が通過するが、南富良野町「南ふらの」から浦幌町「うらほろ」までの約130kmに道の駅はない。近年は休憩や観光だけでなく、広域的な防災機能の役割も担うだけに、一層の整備が求められる。