山登りを趣味にしていても、いつも余裕で楽しく歩けているわけではない。特に奥深い山を目指すときなどは途中でくじけそうになることもしばしばである
▼例えば本道でいうと東大雪の石狩岳。石狩山地の最深部にあり、次々と現れる頂上のような高みが登山者を悩ませる。一つ登り切って頂上に着いた思うと行く手にもっと高い山がある。そこにたどり着くと、さらに高い山が向こうにそびえているといった具合。本物の頂上に着くまでこれが延々と続く。必死に登って頂上に着いたと喜ぶと、目の前に一層大きな山が現れる。気持ちが折れるのも無理はない。最近の本道の新型コロナウイルス感染拡大グラフを見て、それと似た脱力感にとらわれている
▼再拡大は全国的な傾向だが、中でも本道はこのところ新規感染者数が連日過去最多を更新。東京を抜き47都道府県でも最多を記録している。8600人を超える8月の山をようやく越えたと安心していたら、今度は9500人を上回る山が行く手をふさぐ。今は大きな観光イベントがある時期でもない。相変わらず感染の大本がどこなのか分からないのだ。変異で感染力も増しているのだろう。気温の低下や空気の乾燥も関係しているのかもしれない
▼きのうも本道の新規感染者は7911人に上った。自然治癒がほとんどで治療法や薬も開発されているとはいえ、患者が増えて医療が逼迫(ひっぱく)すれば助かる命も助からない。まずは諦めたり投げ出したりしないこと。一人一人が地道に感染防止対策を続けながら山に立ち向かっていくしかない。