自賠責保険値上げ

2022年11月25日 09時00分

 日本の昔話に出てくる道具で、たいていの人が知っている物といえば「打ち出の小づち」も必ず名前が挙がる一つだろう。欲しい物や願い事を唱えながら振ると、それが現れたりかなったりする

 ▼最も有名なのは「一寸法師」の話で語られた小づちでないか。仕えていた京の大臣の娘が鬼に襲われた際、警護に就いていた一寸法師が鬼の体の中に入って大暴れ。慌てて逃げ出した鬼がうっかり落としていったのだった。この小づちを振って一寸法師は背を伸ばし、娘と結婚。金銀財宝も打ち出し、「末永く幸せに暮らしましたとさ、めでたしめでたし」というわけである。自分の前にも一つ落ちてこないものか。かなわぬ夢だが、どうやら政府はこれを持っているつもりでいるらしい

 ▼全ての自動車に加入の義務がある自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)を、来年度から値上げすることにしたそうだ。交通事故の被害者支援に、一層の力を入れるためだという。積立金や運用益では賄いきれなくなったのだとか。意義ある施策で値上げも最大150円程度。悪い話ではない。と思いきや、話には裏があった。財務省が過去に借り入れた保険の運用益約6000億円をいまだ返済していないのである。鈴木財務相が先日、事実を認め謝罪した

 ▼保険の積立金などは本来8000億円ほどあるが、その75%が消えたのだから苦しいのも当たり前。そこで政府は強制保険を打ち出の小づちに変え、穴埋めしようと考えたのだ。昔話ではよこしまな者が振ると良くないものが出る。まず国民の怒りと不信が飛び出よう。


ヘッドライン

ヘッドライン一覧 全て読むRSS

e-kensinプラス入会のご案内
  • 日本仮設
  • web企画
  • 北海道水替事業協同組合

お知らせ

閲覧数ランキング(直近1ヶ月)

おとなの養生訓 第245回 「乳糖不耐症」 原因を...
2023年01月11日 (1,365)
函館―青森間、車で2時間半 津軽海峡トンネル構想
2021年01月13日 (1,256)
おとなの養生訓 第43回「食事と入浴」 「風呂」が...
2014年04月11日 (1,208)
アルファコート、北見駅前にホテル新築 「JRイン」...
2024年04月16日 (1,124)
藻岩高敷地に新設校 27年春開校へ
2022年02月21日 (799)

連載・特集

英語ページスタート

construct-hokkaido

連載 おとなの養生訓

おとなの養生訓
第258回「体温上昇と発熱」。病気による発熱と熱中症のうつ熱の見分けは困難。医師の判断を仰ぎましょう。

連載 本間純子
いつもの暮らし便

本間純子 いつもの暮らし便
第34回「1日2470個のご飯粒」。食品ロスについて考えてみましょう。

連載 行政書士
池田玲菜の見た世界

行政書士池田玲菜の見た世界
第32回「読解力と認知特性」。特性に合った方法で伝えれば、コミュニケーション環境が飛躍的に向上するかもしれません。