冬の屋外で不測の事態が発生すると、往々にして命の危険にさらされる。道産子なら身に染みて感じていることだろう。鍵を持たずに薄着で外へ出て、たまたまドアがロックされてしまったときの焦りといったらない。車を運転していて吹雪で立ち往生を余儀なくされたときも言い知れぬ不安にかられる
▼それだけに、千島海溝と日本海溝で巨大地震が起こった場合の被害想定には、恐怖を実感した人も多かったろう。冬の深夜の想定だと、死亡リスクの高まる「低体温症要対処者」が千島海溝モデルで約1万5000人、日本海溝モデルで約6万6000人に上ると推計している。この被害想定を思い出したのは、ロシアの侵略に苦しむウクライナの現状に触れたからである。災難は地震や津波ばかりではない
▼ロイターによると24日現在、度重なるロシア軍の空襲で首都キーウの住民約290万人の6割が電力供給を受けられない状況に陥っているそうだ。冬に入り、氷点下の日が続いているというのにである。ロシア軍がミサイルで、原子力発電所などエネルギーインフラを狙い撃ちしているのだ。深刻な燃料不足に無情な追い打ちをかける電力破壊テロ。暖をとる手段を奪われたウクライナの方々は今、どれだけ心細い思いをしていることか
▼多くの民間人の命を危険にさらすロシアの行為は卑劣というほかない。ウクライナではこれからの冬本番に備え、水や食料、防寒具の準備を急いでいると聞く。事態は一刻を争う。われわれがすぐにできるのは募金をすることくらいか。支援のHPを確認したい。