冬によく見られる気圧配置はと問われたとき、すぐに「西高東低」と答えられる道民は多いだろう。大雪や暴風雪、身を切るような低温に対処しなければならない北の国の住民には、ときに生死の分かれ目にもなる重要な情報である
▼西の大陸側で高気圧、東の太平洋側で低気圧が発達し、ちょうど北海道の辺りで縦の等圧線が密に並ぶ。こうなると北からの寒気が入り込みやすくなり、天気が荒れ模様になりやすい。東西の違いを端的に表現できるからか、この言葉は他の分野でもちょくちょく使われる。今はだいぶ勢力図も変わってきたが、高校野球ではかつて当たり前のように言われていたものだ。ごく最近の話をすると、新型コロナの流行がどうやらそんな様相を呈してきた
▼新規感染者数のことである。本道は11月中下旬に1万人を超える日があったものの、その後は目に見えて減少。東北はほぼ横ばいの状態に入った。一方、関東以西は増加傾向にあり、第8波のピークにはまだ到達していないようだ。気圧配置が変わるのと同様、感染者の地域分布も時とともに移り変わっていく。どうしてそうなるのか。多くの専門家がいろいろ解説しているが、いずれも推測の域を出ない。このウイルスのたちの悪いところである
▼それでもようやく感染法上の2類相当から、5類へ引き下げる議論が現実味を帯びてきた。するしないは別にして、少なくとも最悪の状況は脱したということでないか。冬来たりなば春遠からじ。この感染者数の西高東低が過ぎ去ると同時に、コロナも雪解けとなればいいのだが。