1棟丸ごとリノベーション ペット共生可など周辺物件と差別化
独立行政法人都市再生機構(UR都市機構)は、札幌市平岸にあるUR団地で1棟丸ごとリノベーションした上位グレードの賃貸住宅を提供する。2棟計104戸を対象に室内や水回り、エントランスなどを改修。ペット共生を認めるなど周辺の物件と差別化を図る。リノベによる施設機能を高めたUR住宅は全国でも珍しいケース。2023年3月から入居開始を予定する。施設北側にある3号棟も同様の改修を施す計画で、さらに物件を増やす考えだ。
札幌市豊平区平岸2条4丁目にある新木の花団地1、2号を「サンラフレ平岸」として再生する。地下鉄南北線平岸駅が徒歩圏。新築分譲、賃貸マンションの立地として人気の高いエリアだ。
2棟は新築時の03年から市営住宅として市に貸し出していたが、23年2月に返還される。1号棟(RC造、7階)と2号棟(RC造、9階)を、ことし4月から工事を進めてきた。間取りはそのままに全戸で内装を更新。キッチンやトイレ、化粧台などの設備を取り換えている。外壁の補修や塗装、エントランス部の内装更新にも取り組んだ。23年1月に工事を終える。
全戸、猫や小型犬のペット可物件で、室内の床をクッションフロアにした。25年をめどに敷地内でドッグラン整備も計画している。
上位グレードの賃貸住宅を決めたのは、西側の区画にある現UR都市機構新木の花団地6棟と差別化を図るためだ。UR都市機構の担当者は「1棟丸ごと戻ってくる例はほぼなかった。そのままの状態で市場に出しても、他と同じ家賃帯であれば需要を食い合ってしまう可能性がある」と説明。施設機能を充実させるとともに賃貸料金を通常よりも1万-1万5000円程度高めに設定し、「UR住宅に関心が無かった層を取り込むことができれば」と話す。
間取りは1-3LDKの3種類。月額家賃は1LDK(42m²)が6万円台、2LDK(66m²)が8、9万円台、3LDK(74m²)が9万、10万円台に設定している。月額共益費は7200円かかる。23年1月から申し込み受け付けを開始。担当者によると、一般だけでなく法人からも社宅として問い合わせがあるという。
24年12月には施設北側の3号棟が市から返還される。こちらも24年にフルリノベーションを施す考えで、25年1月の提供を目指す。