新型コロナとの付き合いも幾分こなれてきたと安心していたら、その足元をすくうようにロシアのウクライナ侵略、エネルギー問題、物価高騰が次々と―。結局、息つくいとまもない1年だった
▼干支(えと)の話をするとことしは「壬寅(みずのえとら)」で、着実に準備を整えれば好循環の流れができ、次の発展につながる新たな命が育つ年を示唆していた。新型コロナとの付き合いだけはそうだったのでないか。さて、来年はどんな年になるのだろう。恒例により干支が物語るところを紹介したい。2023年は「癸卯(みずのとう)」である。「癸」は矛先が放射状に突き出た武器をかたどった字で、形状が円に見えることから循環の意を表すという
▼十二支の「卯」は誰しも察しの通り、あのかわいいウサギではない。諸説あるものの、元は馬の口にかませるくつわを固定する金具からきた象形文字とされる。字義もかなり多岐にわたるが、やはり口に関係するところから押し開けるとの意味合いが強い。肝心なのはこの二つの字の組み合わせ。「癸」は五行思想でいうと性は水、「卯」は木だとされる。水は木を生むとの考えから「癸卯」の組み合わせを〝相生〟と呼び、互いの性質を強め合う働きをする。未来を閉ざす扉は少々強引なほどの力で押し開けた方が、好循環につながる道が見つかるということか。きっと軽く押したくらいではびくともしないのだろう
▼感染症や戦争、物価など自分一人ではどうすることもできない問題も多いが、来年は諦めずに精一杯、目の前の扉に立ち向かいたい。