困ったときに頼れる人がいるというのは、本当にありがたいものである。先月発表された第31回全国小学生作文コンクール『わたしたちのまちのおまわりさん』(主催・日工組社会安全研究財団など)の入賞作品を読んで改めてそう思わされた
▼国務大臣・国家公安委員長賞を受賞した山梨県の山下英大君(小5)の作文である。1歳6カ月のころ、母親の運転する車に乗っていて急に熱性けいれんを起こしたそうだ。母親はすぐに119番しようとするも、あまりに気が動転していてつながらない。泣きながら近くの交番に駆け込み、居合わせた警官に救急車を呼んでもらったという。警官は救急車が来るまで寄り添い、励まし続けてくれたのだとか
▼本来の業務範囲を越えて親身に対応してくれる警官は多い。警察案件でなくとも困ったときに、つい頼りたくなる人もいるのだろう。近くに交番がなければ110番となるのは自然の流れ。その110番通報の内、およそ2割が緊急性のないケースだったそうだ。警察庁が10日の「110番の日」に合わせて公表した。それによると全国の警察が昨年1―11月に受けた110番は850万2927件。この19.2%に当たる163万501件が急いで通報するまでもないことだった。「酔って帰れないのでタクシーを呼んで」というものまであったらしい。さすがの警察もあきれたろう
▼ただ、中には先の母親のように困り果てて110番に助けを求める人もいる。警察もむげにはあしらえまい。警察相談専用電話「#9110」がもっと広まるといいのだが。