警察庁などが主催する交通安全ファミリー作文コンクールで、2021年度の内閣総理大臣賞(小学生の部)を受賞したのは倉敷市立琴浦東小5年の明石仁美さん(当時)だった。テレビで飲酒運転事故のニュースを見たことが作文を書くきっかけになったらしい
▼千葉県八街市で下校中の小学生の列にトラックが突っ込み、5人が死傷した事故である。運転していた男からは基準値を超えるアルコールが検出された。仁美さんは記す。お母さんはとっさにテレビの前に立ち、画面を隠したそうだ。むごい現場を子どもに見せたくなかったに違いない。仁美さんがお母さんの手を引き、結局は見ることになったが、「家族みんなの顔がこおりつきました」
▼飲酒運転による交通事故が後を絶たない。昨年12月、大阪府堺市で夜間パトロールをしていた4人がひき逃げされ死傷した事故も、その後の調べで容疑者の男が飲酒していた事実が分かったという。男は17日、大阪地方検察庁に危険運転致死傷罪で起訴された。忘新年会や家族の集まりが多い年末年始は、飲酒運転の増える時期である。今回も事故の報が相次いだ。飲酒運転事故そのものはここ10年で半分程度に減った。それでも21年には全体で2198件、死亡事故が152件発生している。それだけ涙が流れているのだ
▼こと飲酒運転に関しては、目指すのは減少でなく根絶だろう。仁美さんの作文の題名は「できることから始めよう」。仁美さんは黄色の足マークで「絶対止まる」ことにした。運転者は「飲んだら絶対乗らない」。できるはずである。