施設所有機関が民間へ運営権売却
札幌市と北海道開発局は1日、第5回札幌駅交通ターミナル検討会を開き、北5西1・西2街区の大規模再開発ビルに配置されるバスターミナルの事業計画案を示した。運営方式に施設所有者の公的機関が民間事業者に運営権を売却するコンセッション方式の活用検討を明記。両地区間の市道西2丁目線は一方通行化を検討する。
民間の知見を活用するため、呉駅交通ターミナル(広島県)など他地域の事例も参考にコンセッション導入を検討する。採用された場合、国と想定されるバスターミナル所有者が運営事業者を公募する。
交通ターミナルなどでのコンセッション導入は、2022年6月に閣議決定した骨太の方針で促進が明記された。道内では新千歳空港など7空港を運営する北海道エアポートが代表例だ。
西2丁目線は左折待ち車の滞留を解消するため、対面通行から南方向への一方通行化を検討。北5条手稲通から南側は既に一方通行のため、区間が延びることになる。周辺は国道5号など幹線道路が集中し、交通混雑が面的に発生している状況だ。再開発が進む周辺一帯の円滑化の一環で道警と協議を進めている。
計画案は整備方針を「北海道新幹線と高速バスが直結するバスターミナルの整備」と定め、街並み形成などを基本コンセプトに置いた。北5西1街区に高速バス、西2街区に路線バスが集約するターミナルを新幹線駅と一体整備する。
札幌駅周辺に分散するバス停を集約するほか、大通駅周辺の中央バス札幌ターミナルや大通バスセンターとの集約・相互経由を構想。バス事業者との折衝など札幌市が総合調整役を務める。札幌駅には道内で運行する都市間バスの81%が発着し、JR在来線とともに都市間移動の結節点を担っている。
駅周辺ではこのほか、新幹線東改札口や改札口前の交通広場、創成川上空歩行者動線、都心アクセス道路などの整備計画が進む。乗り換え動線を確保して結節機能を強化する。
大規模災害に備え、一時的に避難や滞在できる空間も整備する方針だ。18年の北海道胆振東部地震で帰宅困難者が滞留した経験を踏まえ、バス代替輸送や情報発信の役割も盛り込んだ。