人気音楽グループ「ケツメイシ」に、後世へつなぐ希望を歌った『子供たちの未来へ』(2008年)がある。CMにも使われたため覚えている人もいよう
▼胸に響くこんな一節から始まる。「たった一つの巡り合いから生まれた 君とのすれ違いの時代へ 君の為に 君たちの為に 何をし何を残してやれるだろう 子どもたちの未来が 想像よりも幸せで また その子どもたちの未来も 君よりもっと幸せで」。大人たち誰もが心から願っていることでないか。ただ、そんな思いとは裏腹に、子どもたちにとって今は受難の時代らしい。厚生労働省が先月発表した統計によると、昨年1年間に自殺した小中学生と高校生の数は512人(暫定値)に上り、過去最多を記録した。500人を超えるのも初めてだという
▼高校生が前の年より38人も多い352人、小学生が6人多い17人、中学生が5人少ない143人だった。高校生の増加が目立つが、もともと少ない小学生が6人増えているのも気になるところ。原因を見ると学業不振や進路の悩みが1番で、心の病気、親子関係の不和がこれに続く。失恋や友人との仲たがいも少なくない。自殺はコロナ禍に突入した2020年から急増している。行動の自由を奪い、生きる意欲を失わせた結果だろう
▼自殺は一線を越える行為。それがこれだけ増えているということは、もっと大勢が過酷な状況にあると見て間違いない。コロナ対策は児童生徒への目配りが足りなすぎた。子どもたちの未来のためにどうすべきか。今後のためにもいま一度見つめ直したい。