侍ジャパン あす準々決勝

2023年03月15日 09時00分

 本道ともゆかりの深い思想家新渡戸稲造は主著『武士道』で、その基本原理の一つに「礼」を取り上げていた。数ある徳行のうちでも高く評価すべきものだというのである

 ▼ただ、形式に堕しているのは貧弱な偽物。本質は「思いやり」にこそあると説いていた。「礼の必要条件とは、泣いている人とともに泣き、喜びにある人とともに喜ぶことである」。稲造は礼が慈愛と謙遜から生じるとして、そう指摘していた。見ていてうれしくなるのは、選手たちがそんな古き良き日本の文化を体現してくれているからでもあるのだろう。ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で快進撃を続ける日本代表チーム「侍ジャパン」の話である。1次ラウンドを全勝で駆け抜け1位通過を決めた

 ▼12日のオーストラリア戦は初回から圧巻のひと言。1番ヌートバーが四球で出塁し、2番近藤健介がライト前ヒットでチャンスを広げると、3番大谷翔平が外野看板直撃の特大ホームランを放ち3点をもぎとったのである。仲間への思いやりや相手への敬意など礼の精神は試合中随所に見られるが、球場の外でもそれは発揮されていたようだ。チェコ戦で死球を出した佐々木朗希が13日、チェコの宿舎までおわびに出向いたというのである。お菓子を両手いっぱいに携えていったそうだ

 ▼死球はままあることで本来そこまでする必要はない。侍ジャパンの一人としての心意気に違いない。さあ、あすは準々決勝のイタリア戦だ。いずれ劣らぬ剣豪たちが力を合わせてどんな戦いを見せてくれるのか。今から楽しみである。


ヘッドライン

ヘッドライン一覧 全て読むRSS

e-kensinプラス入会のご案内
  • 日本仮設
  • オノデラ
  • 北海道水替事業協同組合

お知らせ

閲覧数ランキング(直近1ヶ月)

おとなの養生訓 第245回 「乳糖不耐症」 原因を...
2023年01月11日 (1,462)
函館―青森間、車で2時間半 津軽海峡トンネル構想
2021年01月13日 (1,283)
アルファコート、北見駅前にホテル新築 「JRイン」...
2024年04月16日 (1,181)
おとなの養生訓 第43回「食事と入浴」 「風呂」が...
2014年04月11日 (1,077)
おとなの養生訓 第170回「昼間のお酒」 酔いやす...
2019年10月25日 (798)

連載・特集

英語ページスタート

construct-hokkaido

連載 おとなの養生訓

おとなの養生訓
第258回「体温上昇と発熱」。病気による発熱と熱中症のうつ熱の見分けは困難。医師の判断を仰ぎましょう。

連載 本間純子
いつもの暮らし便

本間純子 いつもの暮らし便
第34回「1日2470個のご飯粒」。食品ロスについて考えてみましょう。

連載 行政書士
池田玲菜の見た世界

行政書士池田玲菜の見た世界
第32回「読解力と認知特性」。特性に合った方法で伝えれば、コミュニケーション環境が飛躍的に向上するかもしれません。