きのうは平日の水曜日ということもあり、午前中は仕事が手に付かなかった人も多いに違いない。ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の決勝、日本対米国戦が朝からテレビ中継されていた
▼両者一歩も引かない熱戦を繰り広げていたため、仕事をしていても攻防が気になって気になって仕方がない。歓声が聞こえるたび、席を立ってテレビの前に駆け付けてしまう。そんな光景があちこちで見られたろう。多少の仕事の遅れは大目に見てもらわねばなるまい。試合後は勢いがついて倍の働きができたはず。なにせ日本代表「侍ジャパン」の優勝がかかっていた。結果は、2009年以来3大会14年ぶりの世界一。力の入らないわけがない
▼3対2と日本の1点リードで迎えた9回表は、文字通りしびれるような緊迫の展開に思わず固唾(かたず)をのんだ。マウンドに立ったのは今大会最初からチームを引っ張ってきた大谷翔平。米国きっての強打者トラウトから空振り三振を奪い世界の頂点に立った。野球は筋書きのないドラマといわれる。1次ラウンドでは不調だった村上宗隆がイタリア戦で逆転サヨナラヒットを打ったり、源田壮亮が手の小指を骨折したまま神業のようなプレーを連発したり。誰がそんな心揺さぶられるシーンを想像できたろうか。全ての選手が輝いていた。栗山英樹監督がまとめ上げたチームの勝利だろう
▼初戦の中国戦で1番打者ヌートバーが初球ヒットを放ってから、ずっと楽しい夢の中にいた気がする。しばらくはニュースを眺めながら夢の余韻に浸ることにしよう。