事業費の20%、一件最大1億円
網走市は月内にも、ふるさと納税の返礼品生産者を対象とした設備投資補助制度を創設する。設備増強や工場建設に要する事業費の20%を上限に、一件当たり最大で1億円を交付する。投資額50万円の事業から利用でき、広く市内の設備投資を掘り起こして生産性向上と寄付額拡大を図る。
地場産品生産性向上設備整備事業補助金として創設する。道東沿岸部の自治体が寄付額を伸ばして各種事業を拡充する中、網走市内では返礼品の一部で生産が追いつかず欠品するなど寄付額の伸長に余地がある。市は新制度で生産能力の改善を図り、事業者の経営基盤強化や地域経済の好循環につなげる考えだ。
補助の対象者は、返礼品の提供事業者か提供を見込む事業者。事業者になるには市への登録が必要となる。登録者数は増加傾向にあり、22年度は54者いた。
補助の対象事業は、生産設備や工場などの新設、増設、更新。建設地の購入費は対象外とする。設備の販売会社や施設の建設業者に地域要件は課さない。
事業計画を第三者機関が審査し、認定された事業者が市への補助申請に進める。事業計画では設備投資の内容や効果、資金計画などの説明を求める。認定された事業の実施期間は、次年度まで認める意向だ。第三者機関には、網走商工会議所や北海道中小企業団体中央会網走支部、網走信用金庫、市観光商工部が加わる見通し。
5カ年の時限付き制度とする。2023年度はふるさと寄付基金を活用して当初予算で補助金2億円を確保していて、補助枠は最多で2000件、最少で2件となる。認定した事業から申請が可能となるため実質先着順で、2億円を執行した場合は補正予算での追加も視野に入れる。24年度以降の予算額は、23年度の運用状況から検証する。
事業の審査項目や申請の要綱を詰めていて、確定後に市のホームページで公表する。24日には、返礼品生産者や登録希望者を対象としたふるさと納税の説明会を市内のオホーツク・文化交流センターで3回に分けて開催予定で、補助制度についても周知する。
市内の建築業者は「ハード整備に充てることができ、地域に資金が循環して良い。1次産業の盛り上がりを助け、地域と住民に効果が還元される」と新制度を歓迎。大型の設備投資を計画する返礼品生産者は、「着工時期など条件が合えば利用したい」と期待を寄せ、販路拡大につながるサポートとして市の取り組みを評価した。