旅行支援などでV字回復

老若男女の明るい声が響く(ふらのまちづくり会社提供)
富良野市中心部の複合商業施設「フラノマルシェ」の2022年度売り上げが、開業13年目で過去最高額を記録した。旅行スタイルの変化で新たな顧客を獲得し、旅行支援のクーポンで客単価も増加。コロナ禍の利用減から脱却し、V字回復した。市全体の経済回復に弾みがつきそうだ。
売り上げはフラノマルシェ(10年開業)と、フラノマルシェ2(15年開業)の合計。それぞれ飲食・物販の9テナントが入居していて、運営はふらのまちづくり会社。地場産食材を生かしたグルメや各種土産品が人気だ。
19年度に入り込み客123万2000人、売り上げ7億4700万円を記録し、どちらも当時の過去最高を更新。コロナ禍に入り20年度は91万9000人、5億1800万円、21年度は93万9000人、5億5200万円と大幅に落ち込んだが、22年度は118万8000人、7億8100万円でV字回復を達成した。
ふらのまちづくり会社が分析した要因は、主に①地元、道内リピーターの堅調な利用②団体旅行客などの受け入れ増加③旅行支援クーポンによる客単価の上昇―の3点だ。
行動制限の緩和に加え、近場で旅行する動きが強まり、地元客をはじめ、札幌や旭川、これまで取り込めていなかった道東方面からの来場者も増えた。店舗づくりや新商品開発、情報発信といったコロナ禍の努力が、リピーターの創出と定着につながっている。
団体旅行は感染症対策で、大型レストランやホテルでの昼食を避け、フラノマルシェに転換。密を避け、各自が好きな物を食べられるフードコート形式が好評だ。大型バスの受け入れ台数も増加した。
「どうみん割」や「ふらの割」といった旅行支援を利用した宿泊客が、フラノマルシェでクーポンを使う傾向も顕著になった。客単価が大幅に増加し、施設全体の売り上げを押し上げた。
同社は23年度以降も、子ども向けサービスの充実や、各種イベントの復活に取り組み、より多くの人でにぎわう施設を目指す。フラノマルシェに活気が出ることで、周辺の飲食店や観光施設にも足が延びる。アフターコロナに向け、商業拠点の役割は存在感を増している。