ミャンマー選挙管理委員会が先月末、民主派の指導者で心のよりどころともされるアウン・サン・スーチー氏率いる政党「国民民主連盟(NLD)」を解散させたと発表したそうだ。メディアが伝えているのを目にした
▼ミャンマーでは2年前のクーデター以来、国軍が政治の実権を握っているのはご存じの通り。政党の再登録をしなかったというのが理由らしいが、スーチー氏はじめNLDの幹部は拘束状態にある。国軍は発令中の非常事態宣言が解除された暁には「公正な選挙」を実施する、との声明も出しているのだとか。国軍に楯突く政党を強制的に解散させれば選挙に立てるのは身内の候補者のみ。店頭にあるのは傷んだみかんばかりなのだから、国民はその中から選ぶしかないわけだ。公正が聞いてあきれる
▼日本はちょうど衆参5選挙区の補欠選挙と、統一地方選の後半戦が終わったところ。ミャンマーの実状を見ると、民主主義が機能し、公正な選挙が行われる現実を幸せに思わずにはいられない。衆参補欠選では自民が4、日本維新の会が1議席を獲得。立憲民主党は全敗した。一方、地方議員選では維新と国民民主が躍進し、立民も健闘している。市長選では史上最年少26歳の高島崚輔芦屋市長が誕生し、話題になった
▼自分の一票を行使するしないも含め、民意が正しく反映された結果だろう。ただ、これは当たり前ではない。スウェーデンの研究所の発表によると世界ではいまだ7割の国が独裁的に統治されているという。民主主義は手間が掛かるものだ。われわれが注意深く守らねば。