身近な製品が意外なものから出来ていると聞き、感心させられることがある。例えば、ライオンの解熱鎮痛薬「バファリン」の半分は優しさで出来ているそうだ。もちろん比喩的な話。胃腸への負担が少ない成分配合をうたったCMの文句だが、なかなかうまいことを言うと思ったものだ
▼日本コカ・コーラの「アクエリアス」も負けていない。やはりCMでこう伝えていた。「見えない『がんばれ』が詰まってる」。入っているのが「優しさ」や、「がんばれ」という励ましであれば問題はない。製品の性格を正しく表現してもいよう。直接口にするものだけに、安全と安心は何より大切な情報である。ただ、中には名前と中身が違う危ない製品も世の中には出回っているらしい
▼国民生活センターが先週、大手通販サイトなどで「健康茶」として売られていた商品に、健康への影響が懸念される医薬品成分「ステロイド」が含まれていたと発表したのである。こちらは比喩でなく、実際の成分だからたちが悪い。検出されたのは「ジャム―」の表記がある商品複数で、花粉症に効果があるとの触れ込みだったという。人によってはけいれんや感染症悪化を招く可能性があるため、飲用している人は医療機関に相談をと呼び掛けている
▼「健康食品」で体調不良を起こす例が近年後を絶たない。下痢やアレルギー、果ては肝障害まで報告されているというから事態は深刻だ。健康に気をつけて体を壊しては元も子もない。飲用前にかかりつけ医に尋ねるのもお薦めである。優しさならいくら入っていてもいいが。