免許取得補助など奏功
旭川市は、除排雪の実行計画である雪対策基本計画アクションプログラムの2022年度末までの取り組み状況をまとめた。19年度に17%だった40歳未満の市道除雪オペレーターの割合は23%と6ポイント向上した。市の免許取得補助や新規業者の参入といった後押しで若手の比率が高まっているもようだ。働き方改革に向けて昼間除雪の試行も進めるが、作業時間が1.5倍になるなど新たな課題も見えてきている。(旭川支社・松藤岳記者)
旭川市は除雪オペレーターの人員不足、高齢化といった課題の解決に向けて雪対策基本計画を15年度に策定。実行計画となるアクションプログラムは20―24年度の5カ年で取り組むべき施策と目標を盛り込んでいる。
このうち安定した除排雪体制の確保に関しては、除雪オペレーターの高齢化に対応するため、19年度に17%だった40歳未満の割合を26%まで引き上げる目標を掲げている。若手の比率は年々増え続けていて、22年度は総員637人に対して30歳未満が56人、30―39歳が88人の合計144人で約23%まで向上した。
22年度は大型と大型特殊の運転免許取得補助に措置した予算を満額使い切っていて、除雪業者らが若手の雇用と育成に注力していることがうかがえる。除雪企業数は21年度比2社増の45社と新規参入も進み、比較的若いオペレーターの比率が高まっているもようだ。
GNSSを活用した除雪車両の位置把握システムについて、21年度は中央、永山、神楽の3地区の配備にとどまっていたが、22年度は全地区の600台にGNSS機能付きスマートフォンを搭載。除雪車両の運行状況や作業進捗の確認、報告書類自動作成といったDXによる作業効率化の試行も本格化している。
21―22年度に市内4地区で実施した通常より薄く削る路面管理手法の検討については、少雪だったことや排雪の倍増といった施策の影響で、通常の路面管理との間に有意な差が見られていない。23年度も試行を継続して適正な手法を検証していく。
担い手不足対策として日中の生活道路で不陸整正も一部試行したが、通行車両や駐車車両への配慮で夜間に比べ作業時間が1・5倍に延びることも判明した。民有地の雪堆積場でも日曜閉鎖を試行するなど、働き方改革に向けた検証を続けることにしている。
雪対策課では「若年層の増加は事業者の雇い入れの強化もあるのでは」と指摘。23年度は除雪機械の免許取得補助に加えて、技能講習の補助もしてバックアップする方針だ。また、視界不良時でも運転が可能となる映像鮮明化装置の導入など、安全対策にもつながる技術の検証を進めていく。
市道除雪業者らで構成する旭川除排雪業者ネットワーク協議会の飯野雅司会長は「人を育てやすい環境が整いつつある」と話す。24年度に迫る労働時間の上限規制についても「計画的な排雪や交代要員のオペレーターの増員が必要だ」と述べ、時間外労働削減に向けて市との連携・協議を一層深める考えだ。