海洋資源で脱炭素化の促進を―。えりも町と北海道開発局は6日、えりも沿岸域を対象にしたブルーカーボンによるCO₂吸収量推計検討会の第1回会合を町役場庁舎で開いた。コンブによる吸収量の調査方法を共有したほか、ドローンを使った藻場調査を実演した。年内にも吸収量を取りまとめた上で実用化を目指す。
町は、開拓期の原生林伐採や砂漠化の進行を受け、兼ねてから緑化活動や雑海藻駆除を実施している。緑化資源と海洋資源によるCO₂吸収の観点で重要性が増しているため、町と開発局、寒地土木研究所、北海道大学、えりも漁業協組が連携し、日本有数の漁獲量を誇る天然コンブ漁場で吸収量把握や資源管理を進める。
検討会には約30人が参加。冒頭、泉紳一副町長は「広大なコンブ漁場でブルーカーボンを推進し、環境問題の解決や地域経済の向上の足掛かりになれば」と期待した。
続いて調査計画や方法、AIを使用した藻場の判別について意見を交わした。調査は町内5工区で、主にドローンと潜水での手法を検討。ドローン調査で藻場面積の確認やブルーカーボンの繁殖可能区域の見定めをし、潜水調査でコンブの生育状況や雑海藻駆除によるCO₂吸収量の増減を把握する。両調査方法を組み合わせ、低コスト化やコンブ藻場の資源管理活用につなげる。
12日ごろから現地調査を実施。検討会は今回を含め年3回開き、年内にもCO₂吸収量を公表する見込みだ。
地元小中学生らへの課外授業や観光客向けの体験旅行の開催を検討するほか、J―クレジット販売も想定。付加価値の向上を図る考えだ。
検討会終了後、藻場のドローン撮影を実演した。AIを使った藻場の画像解析や調査シミュレーションを通じ、関係者は今後の活動に期待を寄せた。