気象用語の一つに「テレコネクション」がある。マフィア映画の題名のようにも聞こえるが、そうではない。ただ、強いつながりを表すという点では、共通するところがあるかもしれない
▼地球規模で遠く離れているのに、統計をとってみると2地点に明らかな関係性が見いだされる気象現象をいう。誰もが知る分かりやすい例を挙げると「エルニーニョ」。南米チリ沖の海面水温上昇が日本の天候を大きく左右する。ことしは夏本番までに、そのエルニーニョが発生する見込みという。気象庁が先週、可能性は80%とする監視速報を発表した。かなり高い。日本は冷夏になる場合が多く、大気の不安定化によってひどい大雨に襲われたことも過去にはあった
▼そうなると心配なのは外水、内水氾濫に加え、土砂崩れなどの災害である。さらに昨今は危険な盛り土に起因する人為的な災害も無視できない。静岡県熱海市でおととし7月に起きた大規模な土石流では、28人もの人が亡くなっている。最悪の事例だろう。道も本年度から、盛り土規制区域の指定に向けた基礎調査に乗り出すそうだ。熱海を教訓に見直され、先月26日施行された「盛り土規制法」に伴う取り組みという。盛り土といえば聞こえはいいが、要はこれまで全国各地でいらない土が無造作に捨てられていたわけである
▼怖いのはことし無事だから来年以降も、とはならないこと。雨が降り、地震が来るたびに危険度は増し、限界を超えると一気に崩壊する。積んだものは崩れる。時間的に遠く離れていようとそのつながりを忘れてはいけない。