ウイルステージ
ウイルステージ(本社・滋賀県草津市)は15日、旧日本製紙釧路事業所敷地内で取り組むシロザケの完全閉鎖型陸上養殖実証試験の見学会を開いた。大谷洋士社長は「日本一の漁業都市で、高付加価値の魚を育てたい」と意気込んだ。ふるさと納税の返礼品としての活用も検討している。
日本製紙は2021年9月で釧路工場での紙、パルプ事業から撤退。跡地の活用が課題になっている。
ウイルステージは不動産コンサルティングや水質浄化事業を展開。ビワマスやサクラマスの養殖に成功した経験から、工場跡地でのシロザケ陸上養殖に乗り出した。道内での実験は初となる。
倉庫内に大きい水槽(直径5.5m、容量25t)1つと小さい水槽(3.9m、7t)3つを用意し、800匹のシロザケを育てる。カメラを設置して遠隔で成長を管理している。期間は22年12月から24年3月まで。総事業費は4193万円で、市が2795万2000円を補助する。
完全閉鎖型の特長は、回遊しないことからエネルギーを成熟に充てられるところ。大谷社長は「トキシラズのようなコクを味わえて、アニサキスの不安もない。年末にはお刺身として食べられるサイズになる」と話す。
1度の温度差で稚魚が死ぬことがあり、繊細な温度管理が不可欠だ。現在17度で、今後は成長を促進できる20度まで上げる予定。現在15cmほどだが35cm・1kg 大きさまで育て、ふるさと納税の返礼品としての活用を検討している。
これまで平等院や円覚寺の水質管理のほか、廃校を活用しトラフグやエビ、ヒラメの養殖を手掛けてきた。大谷社長は「使われなくなったプールや公民館でも養殖を実現できるかもしれない。ベニザケでも試したい」と可能性に期待する。