「世界最先端の集積地になるよう支援」
西村康稔経済産業相は18日、Rapidus(ラピダス、本社・東京)が千歳市の千歳美々ワールドに新築する次世代半導体の製造拠点予定地などを視察した。鈴木直道知事らが用排水路などインフラ整備への支援制度創設を求めたのに対し「在り方を検討する」と答えた。ラピダスの小池淳義社長は、量産開始以降の拡張可能性や国内外の大学が周辺に拠点を置くことを検討していると明かした。
西村経産相はラピダス建設予定地のほか、石狩市内のさくらインターネット石狩データセンターと札幌市内の産業技術総合研究所北海道センターを視察し、経済関連団体と懇談した。
ラピダス建設予定地に到着した西村経産相に対し、鈴木知事と横田隆一千歳市長は、半導体製造の量産開始を2027年とする目標を達成するため、用排水施設などのインフラ整備は巨額投資が短期間で必要だ、と指摘。自治体のみでの対応が困難なため、従来の補助制度拡充と柔軟に活用できる支援制度創設、重点的な予算配分を要望した。
これに対し、西村経産相は「国内外からの注目が集まっている。関連産業もさらに集積し、世界最先端の集積地になるようしっかり支援していきたい」と応じた。
小池社長は半導体製造拠点の概要を説明し、量産開始以降に拡張の可能性があることや国内外の大学が拠点を置くこと検討していると明かした。さらに、「将来において、いろいろな国の方々に来ていただきたい」と述べ、西村経産相に強力なリーダーシップを発揮してほしいと要請した。
その後、石狩市内のさくらインターネット石狩データセンターに移動し、サーバールームを視察。同社は生成AI向けに大規模なインフラ整備の計画を持ち、経産省から支援を受けると16日に発表していた。
西村経産相はさくらインターネットの田中邦裕社長、米半導体大手のNVIDIA(エヌビディア)の大崎真孝日本代表と意見交換し、「生成AIは世界の経済を変えていく可能性のある技術で、これを支えるインフラ整備が重要」と評価した。
続いて、札幌市内の産業技術総合研究所北海道センターを訪問。
冒頭、村山宣光副理事長は地域性を踏まえた農工連携やバイオものづくりに取り組んでいるとし、「産業競争力強化と循環型社会実現を目指している」と伝えた。
西村経産相は「バイオものづくりについて、経産省は非常に力を入れている」と話したほか、視察したラピダスの建設地やさくらインターネットのデータセンターに触れ、「バイオもどこかで結び付いてくる」と研究に期待を寄せた。
本道経済界とも懇談した。北海道経済連合会の藤井裕会長、北海道商工会議所連合会の岩田圭剛会頭、北海道経済同友会の丸谷智保代表幹事らが参加し、中小企業支援や事業承継、物流問題など本道経済の現状や課題を述べた。
懇談後、西村経産相はインフラ整備に関する要望に対し「ラピダス、道庁、千歳市において具体的な検討をいただいている。計画を見て国としてどういったことをやっていくか検討したい」と回答していた。