災害対応可能なSDGsハウス クレアル工業が開発

2023年06月25日 08時00分

病院や老健施設の電源バックアップ拠点に

太陽光発電と蓄電池をセットにした災害対応ハウス

 クレアル工業(本社・札幌)は、太陽光発電と蓄電池、ろ過機をセットにした災害対応ハウスを開発した。商品名はQ―sai(キューサイ)で、移動可能なSDGsハウスとして訴求する。病院や老健施設、自治体避難所などのバックアップ拠点として使ってもらいたい考えだ。

 2021年から展開するタイニーハウス(小さな家)事業の一環。太陽光発電で作った電力を蓄電池にためて、ハウス内の照明やエアコンに使用する。災害時は電源のバックアップ拠点として機能し、オプションのろ過機をセットすれば、雨水や海水から飲料水を作ることができる。

洗濯や手洗い後の排水を奇麗に循環するろ過機

 札幌市東区東雁来の展示場に設置したモデルハウスは、奥行き6000×幅2250×高さ2700㍉で4畳半ほどの広さ。外壁はガルバニウム鋼板製の角波サイディング。超薄膜の太陽光パネル6枚を壁と屋根に付け、15kW時の蓄電システムで電気の需給をコントロールする。

 太陽光パネルと蓄電システムは中国・EcoFlow(エコフロー)社の製品。太陽光パネルはIP68の防水性能を持ち、薄いので曲面への追随性も良い。蓄電システムは15kW時のパワーシステムキットと専用のLFPバッテリー3台、スマート分電盤、タッチパネルで構成する。入力や出力などの情報はスマホから確認できる。

 オプションのろ過機は、タンクの水を循環させて何度も再利用するための機械。モデルハウスでは一例として、100Lタンクを洗濯機の下に備え、洗濯や手洗い後の排水をろ過機で奇麗にし、循環利用する仕組みを分かりやすく示す。ヒーターを併用すれば冬でも使用可能だ。

 内装は石膏ボードのクロス仕上げ、床はクッションフロア、断熱はグラスウールを標準仕様とする。ハウスは複数連棟が可能で、予算に応じて大きさや内・外装の仕様変更もオーダーメードで応じる。

 病院や老健施設のバックアップ拠点として利用を見込む。自治体のBCP対策としても効果を発揮。最近は、公園やキャンプ場などの防災施設で活用を検討する自治体も出ているという。

 柳下真人社長は「問い合わせの数が多く、世間の関心の高さを実感している。建設現場に導入すれば、工事完成時の成績評定で加点となることなどが期待できるため、建設会社や仮設資材レンタル会社も注目してほしい」と話している。


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