路面状態予測 寒地土研が共同研究者を公募

2023年06月28日 08時00分

東工大との3者で分担 機械学習やAI活用

地域社会の維持発展に欠かせない道路除排雪。
ワンオペ化に向けたICT利活用が喫緊の課題だ

 寒地土木研究所は、路面状態予測技術の開発を加速させる。冬季の交通事故を防ぐため寒地土研、東工大との共同研究者の公募を開始した。積雪や凍結など路面状態予測に用いる機械学習アルゴリズム開発を進め、成果を出す考えだ。従来の路面状態予測技術を含む冬期道路マネジメントシステム(MDOSS)の予測対象範囲を拡大するため、必要なデータの入手を簡便・安価にする方法を模索。機械学習、AIなどを組み合わせ精度の高い予測情報を道路維持管理除雪業者に提供し、将来のワンオペレーション実現につなげる。

 MDOSSは2004年度から研究着手。翌年度から運用を開始して以来、順次、情報提供地点の追加や改良を進めてきた。現在では札幌近郊と中山峠、日勝峠などで運用。路面状態の把握に関する情報が得られる。

 具体的には、利用者(道路管理者)がパソコンのブラウザーで閲覧。特定区間の道路の路面温度、凍結リスクの実測と予測値などを確認できるようになっている。維持除雪業者にとっては、凍結防止剤を最も効果のあるタイミングで散布する貴重な情報源となる。

 ただ、予測のためには多くのデータをシステムに入力する必要がある。民間企業から気象データを購入したり、新規対象区間では調査などが欠かせない。これらが必要予算を肥大させ、対象区間拡大のネックとなっている。精度向上も課題だ。

 こうした経緯から、機械学習やAI活用による路面状態予測技術の開発を共同研究することに決めた。研究では路面状態予測に用いるデータ処理方法の開発、路面状態予測に用いる機械学習アルゴリズム開発を進める。

 寒地土研、指定機関の東工大、公募する共同研究者の3者で研究を分担。共同研究者は主に路面状態、沿道地物の各データ収集、路面状態の時系列予測をするアルゴリズム開発を担う。研究期間は25年3月末まで。申し込み締め切りは7月24日。詳細はホームページに掲載している。

 凍結防止剤の散布は運転手を含め2人掛かりだが、研究が結実すれば作業を自動化できる可能性が高まる。北海道開発局では除雪のワンオペに向けた取り組み「i―Snow」を展開中で、これに大きく貢献しそうだ。


関連キーワード: 除排雪・雪対策

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