ホタテ作業用屋根付き岸壁新設や太陽光パネル設置
苫前町は、苫前漁港の再編について、国に2024年度の新規事業化を要望している。ホタテ作業用屋根付き岸壁の新設が主要事業で、屋根には太陽光パネルの設置を想定し脱炭素化も図る意向。狭小な作業環境を改善するとともに、陸揚げから出荷までの衛生管理向上、物流体制の効率化につなげる。
6月に開いた留萌地域総合開発期成会で、直轄特定漁港漁場整備事業に新規要望として盛り込んだ。事業期間は33年度までを想定している。
同漁港では、漁獲の約7割をホタテが占める。稚貝は道東や宗谷管内の一部に出荷し、成貝は韓国や中国に輸出している。この他エビやタコ、カレイなどが揚がっている。
港内は西側から第1、第2、第3港区に分かれている。第3港区にホタテの作業小屋が8軒あるが、生産量の増加により作業環境が狭くなっている。水使用量も増えている一方、排水機能が追い付かず港内の水質低下も課題にある。
解決に向け第3港区に代わる作業場所の構築を要望している。北護岸の沖側にマイナス4mのホタテ作業用屋根付き岸壁を新設する。併せて西外護岸を北に190m、東に160m延長し、埋め立てることで資材置き場を確保したい考え。
既存の北防波堤と接続する形で北外防波堤を新設し、畜養場となる第4港区を設ける方針。これにより船舶は沖から同港区には入ることができなくなるため、北防波堤の一部を撤去し、岸側に出入り口を確保する。
再編を通じ脱炭素化も図る。岸壁屋根に太陽光パネルを設置する計画で、町によれば実現した場合、国内初の事例となる。町営の風力発電施設からも送電線を引き、太陽光パネルと合わせて港内で使用する電力を賄い環境に配慮した港を目指す。
新しい岸壁には、同漁港8軒の作業小屋と力昼漁港にある4軒の小屋を集約する考え。1カ所で稚貝の陸揚げから出荷までを可能にし、流通体制の効率化を図る。
第4港区整備後の第3港区では、ウニやナマコを養殖する考えだ。実入りの悪いウニにコンブを与えて改善状況を検証するほか、養殖に適した水面かどうかも調査する。