羅臼の海岸隆起、再び滑る可能性も-北見工大らが調査

2015年05月14日 19時24分

 羅臼町の海岸で発生した大規模な地滑りで海底が隆起するという現象を調査した北見工大と道立総合研究機構地質研究所は、背後の巨大な地盤が分断されて滑り落ち、海岸の固い岩盤に阻まれて盛り上がったと結論付けた。町が漁業被害などを調べているが、波の浸食で再び地盤が滑り出すことも考えられるため、場合によっては対策工法を検討する可能性もある。

 海岸隆起は同町幌萌町で4月下旬に住民が見つけた。後方の山側で地層が分離し、台形状の地盤が海岸線に移動。海岸は幅約380mにわたって隆起し、奥行きは最大で約260m、高さは最大約40mある。山側の陥没層は高さが約26mに上り、150m離れた場所には国道335号が延びている。

 巨大な地盤は、約10度の傾斜をゆっくりと滑り落ちたものの、海岸の固い岩盤に阻まれて停止。しかし勢いの衰えない圧力が海底の地盤を地表へと押し上げたとみられる。現地入りした地質研究所の川上源太郎地質防災グループ主査は「海岸の地層が水平から向きを変えて立ち上がっていたので、並進型の地滑りと隆起のメカニズムを確認できた」と語る。

 北大が設置している地震計での観測や住民の証言によると、隆起現象は「4月24日昼ごろから数時間をかけてじわじわ進行したと思われる」(川上主査)と話す。原因としては雪解け水が地中を伝い、地盤を分離させた疑いが最も強い。

 同町では2月に観測史上最高の積雪深179mを記録していた。地滑りを起こした地盤は岩盤の上にもろい地質が載っており、同研究所の石丸聡地質情報グループ主査は「春先の雪解け水は長雨と同じ効果がある。異例の大雪と融雪期の大雨が重なれば、不安定な地盤にかなりのインパクトを与える」と複合的な因果関係を解説する。

 今回と同じく大規模な並進地滑りは、過去に積丹町沼前と厚田村(当時)安瀬(やそすけ)などで起きている。沼前は1970年に集落の住民全員が退去し、安瀬は65年の発生から82年の再発と被害を繰り返している。

 国は住宅や農地などに被害が及ぶ可能性がある場合、地滑り防止区域を指定して対策を支援。道内では209区域が指定されている。工法は地盤の流出を防ぐ盛り土や切り土をはじめ、地下水を抜く集水井、抑止杭、アンカーボルトの設置などが一般的だ。

 羅臼の海岸は貴重なコンブ漁場として知られる。濁った土砂が海水に染み出しており、コンブなど水産物の生育に影響がないか心配されている。現在は地盤は安定しているが「波の浸食によっては再び滑り出す可能性もある」(川上主査)と予断を許さない状況はしばらく続きそうだ。


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