標茶町は公設民営方式で整備する根釧食肉加工センター(と畜場)新設について、施設排水による下流域への影響を危惧する漁協の同意を得て、9月までに実施設計を入札したい考えだ。業務期間は約6カ月を見込む。外構整備などを含めた建設費に約66億円を想定。2016年度に着工し、17年度末までに整備を終える見通しだ。
釧路市新野にある北海道畜産公社の根釧工場が15年度末で廃止されることから、町は15年3月に農協組合長会、ホクレン、畜産公社と、根釧と畜場・食肉加工センター施設整備検討委員会を立ち上げ、事業計画を策定した。
と畜・加工工場棟、検査員事務所、管理棟、係留所、浄化槽施設などの整備を計画。1日当たりの処理頭数は100頭、加工頭数は65頭を見込む。
販促の一環として検討していたハラール認証取得は、基準が統一されていないことなどから実施しない方針。ただ、と畜・加工を牛に特化させ、インバウンドのムスリムへのアピールを図る。
計画通りに整備したとしても供用開始まで2年の空白期間が生じる。老朽化した設備の入れ替えが必要となることから、畜産公社根釧工場の稼働延長はできない。このため、供用開始までの間は十勝や北見の施設へ運搬して加工する考えだ。
池田裕二町長は、16年度の着工を遅らせないためには「実施設計は遅くとも9月に発注する必要がある」とし、「苦肉の策として、実施設計と下流域漁協との協議を並行させて進める可能性もある」と示唆している。