札幌市雪対策室は、新たな雪処理施設の確保に向け、検討業務に着手した。雪堆積場の敷地確保が困難な市街地での処理施設が手薄となっていることから、2015年度は候補地や利用可能な熱エネルギーなどの可能性を探る。
降雪量が年間6m程度に上る市内の雪は、未処理下水などを熱源とする融雪施設計12施設と、15年度は76カ所開設された雪堆積場で処理されている。
しかし、広大な敷地が必要となる雪堆積場は郊外に集中している上、新たな開設場所も中心部から離れた場所に配置される傾向にある。排雪の運搬距離は年々増加。札幌駅から雪堆積場までの距離を市が調査したところ、14年度は10㌔以上の位置に開設されたものが47%を占め、経費増額や作業効率低下という結果を招いている。
一方、敷地確保が困難な市街地では、大通西13丁目にある大通下水道管投雪施設、札幌駅北口前広場にある都心北融雪槽、西区にある八軒下水道管投雪施設などを備えているものの、郊外の雪堆積場と比べて体制は貧弱。
そこで市は、市街地での新たな処理施設整備に向けた候補地と、利用可能な熱エネルギーの検討に踏み切る。15年度の市雪対策事業でも、新規の取り組みとして位置付けている。
これまで、秋元克広市長は選挙公約で持続可能な除雪体制の再構築として大規模な融雪槽設置検討を明記。11月の市議会建設委員会では、新たな雪処理施設の検討状況を尋ねられた添田伸一雪対策室長が、水再生プラザや熱供給プラントの余剰エネルギー活用を視野に入れていることを示し、運搬距離が長い地域を中心に候補地を検討していると述べた。
検討業務は、10月に日本データーサービスへ委託。履行期間は16年2月26日までとなっている。この中で、投雪時にダンプトラックが停車できるような一定程度の敷地が確保できることや、周辺環境なども踏まえて候補地を絞り込み、利用可能な熱エネルギーやコストについても検証する。