千歳市内でホテルの新設、増築が活発化している。新千歳空港の深夜・早朝発着枠の拡大や北海道新幹線の開業などを背景に、訪日外国人の増加が見込まれるとし、4つのホテルの整備計画が浮上。市内のホテル不足を解決しようと、着実に受け入れ体制を強化している。
千歳市によると、2015年度上半期(4―9月)の外国人宿泊数は3万7480人に上り、前年度同期の2万8709人と比べると30.4%増と大きく伸びた。新千歳空港から近いこともあり、旅行の最終日などで中国人やタイ人の観光客を中心にホテル利用が多く、各宿泊施設は、高い稼働率を維持しているという。
訪日外国人の受け入れ体制強化を図ろうと、新千歳空港ターミナルビルを運営する北海道空港(本社・千歳)は国際線ターミナルビルの拡張計画に合わせ、約200室の高級ホテル新設を検討している。中国、アジア、東南アジアなど海外からの富裕層がターゲットだ。
現在、施設内容を固める基本設計の段階だが、工事費約100億円を投じ約200室を設けるほか、高級レストランや国際会議場、温浴施設などを併設。札幌も試合会場となるラグビーW杯が開催される19年の開業を目指す。
千歳市街地では、ホテルの建設現場が見られるようになった。
千歳第一ホテルなどを展開するタスク(本社・千歳)は、今後も需要が見込めるとし、クイーンズホテル千歳を新築中だ。地下1地上12階、延べ3548m²で153室の規模で、16年9月にも完成する。
ANAクラウンプラザホテル千歳は、本館東側駐車場に延べ8589m²、6階建ての新館を建設している。客室数は150室で、現在の288室から438室に拡大。本館と新館を合わせた延べ床面積は約3万m²となる。
ルートインジャパン(本社・東京)も約10億円を投資し、ホテルルートイン千歳駅前の増築に踏み切る。地下1地上14階、延べ約3544m²で、新たに130室を設ける計画。来年1月に着工する予定だ。
こうした状況に千歳市観光振興課の担当者は、「昨年度は千歳エアポートホテルのリニューアルがあったが、本年度に関しては4つのホテルの整備計画が持ち上がるなど急に動きだした」と驚く。
中でも北海道空港が計画する高級ホテルに関心を示し、「国際会議場の広さによっては、大規模なイベントが開催でき、海外からのビジネス利用も増えてくるのではないか」(観光振興課担当者)と動向を注視している。