札幌市は、2026年の招致を目指し国とJOCに提出する冬季五輪・パラリンピックの開催概要計画案を発表した。各競技種目などで使用する会場はほぼ固まったが、スピードスケート会場のみ札幌と帯広を候補地とする2案を提示。競技・非競技施設と用地取得費を含む施設整備費は、札幌案を採用した場合が最大となり、16年試算で2592億円に上る。14年の招致表明時に比べ、155億円減少。新設はゼロとし、既設か建て替えを優先する。仮設で無駄を省き、建設費の圧縮を図る方針だ。
同案によると、大会は五輪が26年2月6―22日の17日間で7競技98種目、パラリンピックが3月6―15日の10日間で5競技72種目を実施する。
競技会場は1972年大会で使用した手稲、大倉山、真駒内の遺産を生かし3つのメモリアルエリアと、札幌ドームを中心とした福住・月寒ゾーンの新たな総合スポーツエリアで構成する。
持続可能性に配慮した五輪とするため、建て替えで整備する競技施設は、夏冬問わず多目的に活用できる稼働率の高い施設とする。開閉式会場となる選手村やメディアセンターなどの非競技施設は、既存の同種用途施設の再整備と連動させ、用途変更なども想定した民間施設の借り上げ方式を導入する。
また、72年の前回大会で整備した競技施設や、既成市街地は官民一体で再生するほか、ホテルのグレードアップや民間ビル建て替えを支援。まちのリニューアルを促進する考え。
選手村は、札幌ドームと近接して整備し、周辺にスポーツ科学・医学・情報研究の推進機関や、スポーツ振興の機能を整備する。後利用では最先端の環境技術を駆使した「人と環境にやさしいスポーツビレッジ」を計画。道産木材の利用や、水素を使用した燃料電池式自動車の導入などにより環境負荷低減を図る。
開催経費は、スピードスケート会場について、道立の真駒内屋外競技場を建て替える場合と、帯広市の明治北海道十勝オーバルを活用する場合の2パターンを提示。それぞれの開催経費は16年試算で、札幌案が4052億円(うち開催地負担額978億円)、帯広案が3841億円(931億円)。これに26年時点の物価上昇に伴うインフレ率などを乗じると、札幌案が4565億円(1102億円)、帯広案が4328億円(1050億円)となる。
計画書は、5月連休明けの市議会に報告した後、有識者会議などを経て8月にも国、JOCに提出。市によれば、招致プロセスは8月5―21日のリオオリンピック前後にIOCから公表される見通し。これを受けて10月にも国とJOCが立候補の可否を判断。市が12月にも正式に立候補を表明する運びだ。