函館市教育委員会は、2017年度の着工を目指している市民会館の耐震改修について、現地で建て替えた場合との比較検討資料をまとめた。新築の場合、完成は7年後の23年3月で、合併特例債を充当できないため事業費85億円の大半を市が負担することになると、否定的な見解を示している。
市教委は14年度に実施した耐震診断結果を踏まえ、市民会館耐震化の方針を決定。しかし新築に対する市民の意見も根強く、市議会総務常任委員会からは、新築した場合の想定スケジュールや事業費の提示を求められていた。
それによると、仮に現地で建て替える場合、基本的な考え方の整理や整備基本計画、基本設計、実施設計、施設解体で各1年、工事には21年度から2カ年を要し、23年7月開館との想定スケジュールを描いている。
一方、耐震・設備改修に加え、バリアフリー化などを施す場合は、9月補正で実施設計費、17年9月補正で工事費をそれぞれ計上し、同12月議会での承認を経て着工、2カ年での施工と見込み、開館は20年4月で約3年早いとした。
合併特例債を活用できるかどうかも大きい。事業費には新築で約85億円、耐震化で約35億円を想定するが、耐震化の工事完了は20年1月で特例債の発行期限である19年度に間に合う見込み。だが期限内の完了が不可能な新築の場合は市の実質負担額が約84億円に上り、耐震化の約11億4000万円と大きく差がつく。
耐震化の場合、改修後20年間に屋上防水や設備更新などで1億2300万円掛かり、維持管理費も新築以上に要する見通しだが、それを差し引いても「新築の場合、市の財政負担は大きい」(市教委生涯学習文化課)としている。