白老町は、国立アイヌ民族博物館など民族共生象徴空間(象徴空間)の整備に伴い、民設民営で移転改築するポロト温泉について、10月にも事業者を公募し2016年度内に決定する予定だ。建設に当たっては、既存施設では保有していない宿泊機能などを盛り込みたい意向。今後、事業者選定の条件などを詰める。
19日に開いた、象徴空間整備促進・活性化に関する町議会調査特別委員会で示した。
アイヌ文化の復興を目指し、国が同町内で20年に開設する象徴空間では、博物館のほか、国立民族共生公園、アイヌ民族の遺骨などを保管する慰霊施設の3つを主要施設として整備。このうち、既存の温泉施設があるポロト湖畔に博物館と公園が整備されるため、温泉は現在地より少し西側の湖沿いに移転する運びとなっている。
温泉施設は町が全額出資する白老振興公社が所有し、日帰り入浴施設として運営。移転改築に当たっては、町内に宿泊施設が不足していることや国の意向を踏まえ、町は現在の日帰り温泉に加え、宿泊、物販、飲食の機能を備えることを想定している。
課題もある。6月以降に行った泉源調査では、湯量は確保できる見通しにあるものの、現状の温泉掘削管は使用から約50年が経過し管が閉塞(へいそく)しているため、新たな管の掘削が必要なことが分かっている。
町は、こうした課題の整理や事業者の動向調査、管掘削は町が実施すべきか否か、移転用地を事業者に譲渡もしくは貸し出すかといった選定条件などを10月までに詰めることにしている。