交通網寸断の十勝、建協が対策本部設置し「復旧に全力」

2016年09月01日 19時27分

 十勝管内に甚大な風水害をもたらした台風10号の傷跡は深刻だ。十勝平野で毛細血管のように広がる十勝川の支流河川が各地で氾濫。住宅地や畑地が泥で覆われ、数多くの橋梁が崩壊し、復旧のめどが立たない。管内の建設業者は24時間体制で復旧を急いでいる。

 落橋は清水町や芽室町を流れるペケレベツ川や芽室川を中心に発生した。国道では38号清水町で清見橋と小林橋が被災。共に橋長38m、PC3径間プレテン桁橋で復旧の見通しは立っていない。清水町では1日午後4時点で地蔵橋、錦橋、新錦橋、ペケレベツ橋、石山橋、円山橋、平和橋、旭山橋の落橋を確認。調査中のため今後増える可能性もある。芽室町では日進橋と上芽室橋が流された。新得町でも複数発生し、調査を進めている。これら3町には国土交通省の地方整備局や道内の開建から緊急災害対策派遣隊(TEC―FORCE)47人が送り込まれ、きょう2日から土木施設被害調査などを始める。

 道道は清水大樹線の上美生橋(芽室町)と中島橋(帯広市)、大樹町内の幸徳大樹停線ヌビナイ橋が流失。帯広の市道では岩内町で岩内川に架かる岩戸・戸蔦線明星橋(70m)で橋台が倒れたため1径間が下がった状態になっている。

 河川では、札内川が帯広市内の戸蔦別川合流点に近い、大正橋下流の左岸で延長200mにわたって堤防が決壊した。8月31日午後2時半から宮坂建設工業が緊急復旧工事に着手。音更川では士幌町内にある音和橋上流の左岸で延長200mにわたって堤防の一部が流失。31日午後7時から村上土建開発工業が緊急復旧工事を進めている。

 農業施設は、芽室町内で美生ダム下流の管理橋が被災。幕別町内では相川ファームポンドが被害に遭った。清水町御影地区では円山頭首工と石山頭首工で取水ができない状態。アクセス道路である町道が崩落しているため現地確認ができないという。

 帯広建設業協会は1日、臨時理事会を開き、台風10号被害に関する災害対策本部の設置を確認した。萩原一利会長は「十勝を守るため、全力を尽くして復旧に努めたい」とげきを飛ばした。会員各社が災害復旧で稼働できる資機材を調査し、5日に労務委員会が災害復旧現場で緊急パトロールをする。過労による作業員の災害を防ぐためだ。3現場を巡回する。

 道央、道北圏と十勝を結ぶ主要幹線道路は、国道274号日勝峠や38号狩勝峠など通行止めが続いていたが、1日に道東自動車道占冠IC―芽室IC間が開通。十勝地方トラック協会の奥野一男専務理事は「主要道路が通じたことでひとまず安心した」と胸をなで下ろす。これから収穫が本格化するバレイショやビートは収穫量が減少する見通しで、今後の輸送活動は不透明。道外向けの食用バレイショはJR貨物での輸送が主だが、新得町内で鉄路が被害を受けているためトラックによる代行輸送の可能性がある。「国道や鉄道の不通が長引けば、それだけ物流に影響が出るのは間違いない」と懸念する。


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