台風10号の3建管被害額が340億円超-7、11、9号は全道で528億円

2016年09月06日 19時11分

 台風10号の大雨で、甚大な被害に見舞われた帯広、室蘭、旭川建管によると、公共土木施設の被害額は合わせて340億円以上に上っている。帯広建管が9割、304億4000万円を占めている。一方、道は、台風7号、11号、9号の5日時点の被害状況をまとめた。道と市町村を合わせて4047カ所で、被害総額は528億100万円。発注3部が所管する施設の被害額は約457億8600万円に上り、8月30日時点で国に報告した被害の第1報に比べて約200億円膨らんだ。道は復旧工事に早急に取り掛かる方針だ。

 台風10号の帯広建管の被害額は、358カ所で304億4000万円に上る。既に7号で13億8100万円、11号で7億8000万円の被害があり、計326億100万円と過去に例がないほどの規模になる。

 10号被害のうち、清水町で住宅の全半壊をもたらしたペケレベツ川は19カ所、神社橋の流失で男性1人が亡くなった新得町のパンケ新得川では9カ所に上る。清水町の芽室川、新得町の佐幌川でも被害があった。

 帯広建管の2016年度事業費は補助・交付金と単独費を合わせて85億800万円。今回の一連の台風被害額は年間事業費の3・6倍にもなる。

 室蘭建管は、日高町内の沙流川を中心に被害額20億円を超える見通し。今後の海岸や漁港の被害調査によってはさらに拡大するもよう。

 沙流川は築堤や護岸の決壊など支線を含め15カ所以上、このほか、新ひだか町内の真沼津川や浦河町内の日高幌別川、様似町内の幌満川などでも被害が分かっている。

 海岸は波浪により、洞爺湖町の虻田海岸で離岸堤の堤体ブロックが流失するなど、確認できた箇所を合わせ10億円を超える。漁港でも調査を進めており、被害はさらに積み上がるとみられる。

 旭川建管は、南富良野町と占冠村で河川、道路、橋梁合わせて31カ所に上り、被害額は13億7900万円。南富良野町の夕張新得線は7カ所が崩壊し、同路線だけで4億5200万円を見ている。

 内訳は河川9カ所、3億4100万円、道路15カ所、7億9600万円、橋梁7カ所、2億4200万円。

 一方、7号、11号、9号の被害を道の所管部局で見ると、建設部は1513カ所で296億3454万円。河川が最も多く、全体の6割を占める。道分が1190カ所で241億2011万円、市町村分が323カ所で55億1443万円。

 農政部は、ほ場の土砂堆積や耕土流出といった農地被害が1160カ所で86億9900万円、頭首工の損傷や水路の埋そく・損傷、農道の損傷など農業施設の被害が566カ所で27億5700万円、穀類乾燥調製施設の浸水や鳥獣侵入防止柵の破損など共同利用施設の被害が9カ所で9億9600万円。農政部全体の被害額は189億100万円に上る。

 水産林務部は、漁港施設などの水産関係が176カ所で15億3954万円、治山施設などの林業関係が256カ所で35億4470万5000円。

 庁舎など総務部所管は10億円、空港施設など総合政策部所管は25億円、水道など環境生活部所管は338億円、社会福祉施設など保健福祉部所管は44億円、教育庁は学校で6億4000万円、経済部は商業施設や工場などで8500万円の被害だった。

 これらは6日に開かれた道議会の常任委員会に各部が報告。農政委員会で、大西秀典農政部農村振興局長は「国による災害査定の前に応急工事ができる査定前着工制度の有効活用を図りたい」と早期着手を表明した。

 建設委員会では、名取哲哉建設部長が「川幅の拡幅や堤防のかさ上げなど施設機能の強化を図る改良復旧事業も検討している」と抜本的な工法を示唆した。


関連キーワード: 災害・防災

ヘッドライン

ヘッドライン一覧 全て読むRSS

e-kensinプラス入会のご案内
  • 東宏
  • 川崎建設
  • 古垣建設

お知らせ

閲覧数ランキング(直近1ヶ月)

おとなの養生訓 第245回 「乳糖不耐症」 原因を...
2023年01月11日 (1,423)
函館―青森間、車で2時間半 津軽海峡トンネル構想
2021年01月13日 (1,315)
おとなの養生訓 第43回「食事と入浴」 「風呂」が...
2014年04月11日 (1,296)
アルファコート、北見駅前にホテル新築 「JRイン」...
2024年04月16日 (1,098)
藻岩高敷地に新設校 27年春開校へ
2022年02月21日 (996)

連載・特集

英語ページスタート

construct-hokkaido

連載 おとなの養生訓

おとなの養生訓
第258回「体温上昇と発熱」。病気による発熱と熱中症のうつ熱の見分けは困難。医師の判断を仰ぎましょう。

連載 本間純子
いつもの暮らし便

本間純子 いつもの暮らし便
第34回「1日2470個のご飯粒」。食品ロスについて考えてみましょう。

連載 行政書士
池田玲菜の見た世界

行政書士池田玲菜の見た世界
第32回「読解力と認知特性」。特性に合った方法で伝えれば、コミュニケーション環境が飛躍的に向上するかもしれません。