札幌市北区西地区を担当する道路維持除雪共同体で代表を務める一二三北路(本社・札幌市北区)は、コマツと共同で今冬から独自に除雪ICT(情報通信技術)化の取り組みを展開する。除雪車やパトロール車にiPhone(アイフォン)を搭載してGPSデータ取得、道路状況把握などに活用し、作業効率化を図るもの。オペレーターの高齢化による担い手不足などに備える狙いがあり、「作業環境の改善を図る第一歩を踏み出したい」(熊谷一男社長)考えだ。
除排雪は、昼夜を問わない過酷な作業に加え、住民の苦情対応なども多く、若い世代には敬遠されがち。膨大な書類整理も事業者の大きな負担となっている。
そこで同社は、建設現場の生産性向上を目的として国が提唱する「i―Construction」への対応や将来の人材確保を見据え、「夏冬維持業務」「除雪業務苦情対応」「竣工書類簡素化」の3項目で、ICT活用に取り組むことにした。
冬の道路維持除雪に当たり、47台の除雪車と3台のパトロール車にアイフォンを搭載し、GPSや加速度など作業時のデータを取得。道路管理者や除雪オペレーターは、24時間リアルタイムで各地点の道路や積雪の状況を把握できる。危険箇所などの情報を事前に入力しておけば、近づくと音声で知らせる機能も付いている。
ショベル走行箇所を軌跡として残せるため、苦情対応の負担軽減にもつながる。
また、これまで発注者に紙ベースで提出していた距離や時間などを示すタコメーターのデータを電子化し、DVDで管理できるようにもなる。
除雪機械とこれらシステムをセットにしたサービスの導入は、コマツとして道内初の試み。
ビッグデータなどのICTを活用したまちづくり推進を目指す札幌市も、この動きに注目している。雪対策分野での活用本格化はこれからだが、市雪対策室は「今回の取り組みは、市が目指す担い手不足などの課題解決に向けた方向性と合致している」と成果に期待を寄せる。
同室では、市の道路維持除雪で企業が取り組むICT化としては初めての事例だとしている。