文化庁は23日、白老町で2017年度に着工する国立アイヌ民族博物館の整備概要を公表した。構造はSRC一部S造、3階、延べ約8600m²に決めた。湿気対策などから展示室などは2階に配置している。
博物館は、アイヌ文化復興の拠点「民族共生象徴空間」の中核施設として、ポロト湖畔に整備する。文化庁が整備管理者となり、北海道開発局が発注を担う。
建物は湖畔周囲に広がる、すり鉢状の山並みや自然林と緩やかに連続させる形状。湖の湿気や海からも近く津波が襲来する可能性があるため2階に展示室や収蔵庫を、1階に映像や音声でアイヌ文化の概要を紹介するシアターやエントランス、カフェ、調査・研究スペースなどを置く。主要スペースを2階に配置したことから、2階部分が湖に張り出す形となっている。3階は機械室。
展示スペースは基本展示室、テーマ展示室、特別展示室が横に並び、合計2400m²のスペースを確保。テーマ展示室と特別展示室は可動壁で仕切れるようになっており、展示内容に合わせ、両スペースを一体的に使用することも可能にしている。
また、建物の湖畔側には屋外テラスやガラス張り眺望スペースを設け、自然環境との調和を図っている。
建物東の一角にはピロティ方式による、収蔵庫増築スペースを用意している。
現在、建物は久米設計、展示は丹青社で実施設計を進めており、秋に完了する見通し。政府は民族共生象徴空間の公開時期を20年4月と目標付けており、そのスケジュールから逆算すると早ければ年内の着工が見込まれる。
文化庁は、17年度予算に博物館施設の整備費として、19年度までに約95億円を支出する国庫債務負担行為を設定している。