札幌市は2017年度、路面電車の西15丁目電停周辺地区を対象として景観まちづくり指針を作成する。店舗1階への滞留空間確保や、安全な夜間歩行環境確保のための屋外照明設置など、沿線の建物や敷地に一定の配慮を求める内容。市の公共施設を整備する場合も同指針を踏まえることを明記する考えだ。
対象地区は、路面電車が走る福住桑園通や南1条通のほか、西屯田通などの市道を含み、西15丁目、西線6条の停留場がある一帯。札幌医大や近隣の病院利用者や買い物客、学生などが多く往来し、景観上重要な路線となっている。また、市電ループ化が実現したことに加え、沿線の二条小は改築に伴ってまちづくりセンターや児童会館などを併設することもあり、地域が変わるきっかけにと、指針策定のモデルに選ばれた。
景観法に基づき、延べ1万m²を超える建築物か高さ31mを超える建築物を建築する場合などは市への届け出が必要だが、市景観条例の改正により指針でさらにきめ細かく規定できるようになった。
高さ10mを超える建築物の新増改築、移転、外観の変更、大規模修繕、模様替え、広告物では表示面積が10m²超の掲出、移転といった行為で新たな届け出が必要になる場合がある。
指針案では「停留場を中心に集積する多様な機能を生かし、地区の魅力を高める景観まちづくり」を目標に掲げる。景観形成の基準では、通りに面する敷地部分は周辺の緑の連続性などを意識し、効果的な緑化に努めるほか、建築物の色彩選定に当たっては札幌の景観色70色から選定するよう求める。
建築物付帯設備は、道路から見えにくい位置に設け、植栽や柵などで目立たないよう工夫するほか、多くの人が集まる店舗などの1階部分には滞留空間の設置を促す。
夜間景観では、安全な歩行空間を確保するため通り沿いの建築物外構に暖かみのある屋外照明の設置も規定する。
このほか、区域によっては立て看板、のぼり旗など簡易な広告物を設置する際、道路境界線から一定の距離を保つことも盛り込む。
同指針は、17年度中に開く景観審議会での意見を踏まえて策定する。