道建設部は、2016年度の道内建設業の経営に関するアンケート結果をまとめた。16年度に経営事項審査を申請した建設業許可業者に対し前年度(15年度)の状況を調査。経営戦略に関する取り組みでは、「社員の資格取得」や「高度人材採用」など人材確保・育成を取り巻く回答割合が14年度の前回調査より上昇。従業員の過不足感についても前回を上回る54.2%の企業が「不足」と回答し、人手不足が進行している状況がうかがえる結果となった。
同部が隔年で実施しているアンケート。今回は16年4月―17年3月に経審を受けた7989社に依頼し、17%の1355社が回答した。業種は土木47.4%、建築33.4%、専門工事16.6%、その他22.4%。完工高は1億円以上5億円未満の企業が43.1%と最多で、完工高に占める公共工事の割合は5割以上が51.8%だった。
経営状況について「好転した」は18.1%で前回調査よりも11ポイント減少し、反対に「悪化した」は23.5%と8.4ポイント増えた。今後の見通しも「好転する」は11.1%にとどまり、「悪化する」が29.2%と4.7ポイント増加していて、経営環境の厳しさを映し出している。
公共工事の受注額は「増加した」が23.4%(前回比16ポイント減)、「減少した」が47.8%(17.7ポイント増)で、前回は景気対策を目的に大型補正が組まれたため、この反動減とみられる。民間工事は「増加した」が26.8%(8.5ポイント減)、「減少した」が36.1%(7.7ポイント増)となっている。
最も重視する戦略は「建設業本体の企業体質強化」が55.8%と、依然として最多。経営戦略に関する現在の取り組み状況は「経費削減」が最も多かったが、比率は52.6%と前回を3.5ポイント下回った。一方、前回を上回ったのは「社員の資格取得」の41.2%(前回比5.5ポイント増)、「民需開拓」の35.1%(3.3ポイント増)、「高度人材採用」の17.3%(1.3ポイント増)など。民間工事の受注機会拡大とともに、人材確保の取り組みに力を入れている。
従業員の過不足感は「適正」が44.2%(前回比1.5ポイント減)、「過剰」が1.6%(0.2ポイント減)、「不足」が54.2%(1.8ポイント増)と、依然として人手不足を感じている企業が多い。常用従業員は「採用した」が46.9%(4.1ポイント減)、「採用していない」が53.1%(4.1ポイント増)。常用従業員採用企業のうち、若年労働者を雇用した企業は前回より4ポイント上昇の62%で、平均採用は2・5人。今回初めて調査した女性労働者を雇用した企業は20.9%で、平均採用は1・8人だった。
新分野進出については、既に進出している企業が15.7%で、具体的検討が2%、模索中が19.3%など。進出した分野は「環境・リサイクル関連」、検討している分野は「建設関連」がそれぞれ最多だった。ただ、新分野進出に当たっても人材育成確保が大きな課題となっているようだ。
行政への要望は、公共工事の発注単価引き上げ、工事の平準化、若年者入職のための情報発信、若年者や高齢者採用への助成、資格取得の要件緩和などが挙がった。