痩せ過ぎはダメよ

2017年09月08日 09時08分

世界中に似たような話が幾つもあるらしい。「胃袋への反乱」(『魔法の糸』実務教育出版)という昔話のことである

 ▼手と足と口と脳はそろっていつもこんな強い不満を抱いていた。自分たちは一日中あくせく働いているのに、胃袋ときたら一つ所にじっとして食べ物をむさぼっているだけじゃないか。ある日、不公平さに我慢ならなくなった彼らは怠け者の胃袋を困らせてやろう、と一斉に働くのをやめてしまう。結果はご想像の通り。人間は元気を失い、ついに動けなくなってしまうのである。これは昔話だが、現代ならきっと全く逆の形の話も生まれるだろう。こんな風に

 ▼手と足と口と脳が文句を言う。胃袋ときたら毎日よく働き過ぎて、われわれはぶくぶく肥え太るばかりだ。このままでは大変なことになるから、病的に働く胃袋に食べ物を送るのはやめてしまおう。まあ、結末は同じ。極端に走ればやはり人間は健康を害してしまう。行き過ぎたダイエットから拒食症に陥ってしまう例もあるようだ。フランスの高級ブランド、ルイ・ヴィトンを抱える「LVMH」とグッチを擁する「ケリング」の両グループが、痩せ過ぎのモデルはファッションショーに起用しないことを決めたとの報に触れ、胃袋の話を思い出した

 ▼彼の地ではモデルに憧れた若い女性の拒食症が社会問題になっているという。人ごとではない。日本でも患者は増えているそうだ。先の昔話はそれぞれが大切な役割を果たしてこそ全体が成り立つと教えている。これを機に胃袋を困らせる悪しき習慣もなくなればいいのだが。


ヘッドライン

ヘッドライン一覧 全て読むRSS

e-kensinプラス入会のご案内
  • 川崎建設
  • web企画
  • 古垣建設

お知らせ

閲覧数ランキング(直近1ヶ月)

おとなの養生訓 第245回 「乳糖不耐症」 原因を...
2023年01月11日 (1,657)
函館―青森間、車で2時間半 津軽海峡トンネル構想
2021年01月13日 (1,497)
おとなの養生訓 第43回「食事と入浴」 「風呂」が...
2014年04月11日 (1,123)
おとなの養生訓 第170回「昼間のお酒」 酔いやす...
2019年10月25日 (982)
おとなの養生訓 第109回「うろ」 ホタテの〝肝臓...
2017年03月24日 (721)

連載・特集

英語ページスタート

construct-hokkaido

連載 おとなの養生訓

おとなの養生訓
第258回「体温上昇と発熱」。病気による発熱と熱中症のうつ熱の見分けは困難。医師の判断を仰ぎましょう。

連載 本間純子
いつもの暮らし便

本間純子 いつもの暮らし便
第34回「1日2470個のご飯粒」。食品ロスについて考えてみましょう。

連載 行政書士
池田玲菜の見た世界

行政書士池田玲菜の見た世界
第32回「読解力と認知特性」。特性に合った方法で伝えれば、コミュニケーション環境が飛躍的に向上するかもしれません。