犯罪被害者支援

2017年11月10日 07時00分

 殺人事件の犯罪被害者家族は時にこうした言葉を口にすることがあるという。「2度殺されたようなものだ」。命を奪われた上にあらぬ噂まで流され、社会的信用も失わされる実態があるからだ

 ▼噂ばかりではない。好奇の目、根拠のない中傷、心ない言動。全て無理解から来るものである。殺人に限らない。性的暴行をはじめ多くの犯罪の被害者とその家族にとって、今の日本はそれほど優しい社会ではないようだ。道はその現状を打開するためこれまでもいろいろ手を打ってきたが、取り組みを一歩進めようと今度は「犯罪被害者等支援条例」を制定することにしたそうだ。7日の道議会環境生活委員会に素案を報告。おとといからは、道民を対象に意見の募集も始めた

 ▼中身を見ると、個人の尊厳にふさわしい処遇の保障や二次被害が生じない配慮、必要な支援の継続を基本理念にうたい、国と道、市町村、民間支援団体の責務を明確にしている。被害者の安心とともに道民の意識改革を意図したものだろう。被害者らの尊厳と権利を守る活動を続ける「全国被害者支援ネットワーク」がHPに、殺人事件で突然父を亡くした女性のこんな声を載せていた。「加害者以外にも『無理解な社会』という敵に立ち向かわねばならなくなる」。血を吐くような叫びに聞こえる

 ▼現在世間を騒がせている座間の連続殺人でも、被害者の私事を暴くような報道が目に付く。ただでさえ心を痛めている遺族が「2度殺された」心境に陥らないか。もし自分が被害者の家族だったら、との想像力だけは失わずにいたい。


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