山の遭難

2016年01月13日 08時51分

 ▼自転車で走行中、交差点の一時停止標識を無視して突っ込んできた車にはねられたことがある。住宅街だったため見ていた人もいて、すぐ病院に運ばれ事なきを得た。珍しくもない出合い頭の事故だ。アルピニストの長谷川恒男は高度な登山を別にして、山の遭難も交通事故と同じと考えていたそうだ。『山に向かいて』(福武文庫)に、どちらも原因は知識や能力の不足、ルール軽視にあると書いている。

 ▼道警が8日公表した過去5年間の道内山岳遭難発生状況を見て思い出したというわけ。それによると2011年から60件(遭難者60―80人)程度だったのが、15年は100件、151人に増えた。同年からスキー場の外に出るいわゆるバックカントリーでの遭難を含めたためとのこと。今まで見えなかった新たな山岳遭難の姿が数字として現れたのだ。新雪を求めて山に入るスキーヤーやスノーボーダーは増えているが、コース外が安全から切り離されていることに無頓着なのだろう。

 ▼天候の急変、思わぬけが、道迷い。山の知識や能力を持たない者にとっては、命の危機につながることばかりだ。山で遊ぶのに免許はいらないが、その代わりとなる知識や能力は最低限身に付けておきたい。長谷川氏は「さらに素晴らしい人生を送るための場として山を選び、山にでかけて行く」と山に向かう人の心境に触れていた。登山者もバックカントリーの愛好家もそれは同じだろう。山は住宅街と違ってすぐ助けてくれる人もいない。雪山は準備のできた人だけを待っている。


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