福島のデマを検証

2018年03月09日 07時00分

 英国には「紙は赤面しない」ということわざがあるそうだ。面と向かって言えば恥ずかしくて顔が赤くなりそうなうそや独り善がりな主張でも、文字にすれば臆面もなく流せるとの意味である。誇大広告などはその典型だろう

 ▼ネット社会といわれる今なら、「SNSは赤面しない」の方がぴったりくるかもしれない。何が事実で何が作り話なのか、どれが正しくどれが間違っているのか、見極めが難しい現状である。中でも迷惑なのがデマの類い。東日本大震災から7年もたつのに、いまだに放射能関連で根も葉もない風聞を流布し続けるやからがいるのである。ツイッターやフェイスブックに慣れ親しんでいる人は目にしたことがあるのでないか

 ▼こんな例があった。匿名の人物が、知床でオオカミウオを釣った男性のブログの画像を盗用し、福島第1原発事故の放射能で魚が醜く巨大化したとの記事を作って投稿したのである。記事は信じた人により拡散され、ついに海外のメディアまで取り上げるに至った。オオカミウオを知っていればだまされないが、そんな人は多くない。デマをばらまく者はこうした隙や不安に付け込む。福島で奇形や小児甲状腺がんが多発しているとのデマも同じこと。どちらも科学的に否定されているものの、まだ世の中には浸透していない

 ▼とはいえわれわれが真偽を見抜くのには限界がある。そのときはジャーナリストや学識者が昨年末開いた事実を公平に検証するWebサイト「Fact Check福島」などを活用したい。うっかりとデマに乗って赤面しないように。


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