仮説独り歩き

2016年09月07日 10時02分

 ▼ビジネスを成功させるには、行き当たりばったり進むより、まず仮説を立ててから始める方が良いと聞いたことがある。0から1や2を作ることは難しいが、1を修正して2にすることは比較的容易だからだという。仮の答えを携え、あっちにぶつかり、こっちにつまずきしながら本当の答えに迫っていくのである。風呂に入っただけで新発見できた古代ギリシャの天才もいたが、凡人には望むべくもない。

 ▼仮説の手法はビジネスにとどまらない。日常生活から国際交渉まで幅広く応用できる。ところが、それが全く通用しないのが北朝鮮の動きである。今度は日本の排他的経済水域に、3発のミサイルを相次いで撃ち込んだ。5日正午頃のことという。折しも中国で主要20カ国・地域首脳会議が開かれているさなかのこと。中国の面目は丸つぶれである。日中や中韓関係の改善に対するやっかみ、米国への示威行動との見方もあるが、どれも仮説の域を出ない。一体何を考えているのやら。

 ▼北朝鮮つまり金正恩氏ということだが、その伝えられ方はいつも「~との観測もある」「~かもしれない」とあやふやだ。材料が極端に少ないため、仮説が検証されないまま独り歩きするのである。そうして恐怖心ばかりが肥大していく。駅に置かれた不審な紙袋のようなものだ。毒物や爆弾が入っていると想像すればうかつに手は出せない。まあ実際に中をのぞいたら、いるのは弱みを見せたくなくて殊更強がっているだけの人間かもしれないが。おっと、また「かもしれない」だ。


ヘッドライン

ヘッドライン一覧 全て読むRSS

e-kensinプラス入会のご案内
  • オノデラ
  • 日本仮設
  • 川崎建設

お知らせ

閲覧数ランキング(直近1ヶ月)

おとなの養生訓 第245回 「乳糖不耐症」 原因を...
2023年01月11日 (1,634)
函館―青森間、車で2時間半 津軽海峡トンネル構想
2021年01月13日 (1,471)
おとなの養生訓 第43回「食事と入浴」 「風呂」が...
2014年04月11日 (1,112)
おとなの養生訓 第170回「昼間のお酒」 酔いやす...
2019年10月25日 (961)
おとなの養生訓 第109回「うろ」 ホタテの〝肝臓...
2017年03月24日 (702)

連載・特集

英語ページスタート

construct-hokkaido

連載 おとなの養生訓

おとなの養生訓
第258回「体温上昇と発熱」。病気による発熱と熱中症のうつ熱の見分けは困難。医師の判断を仰ぎましょう。

連載 本間純子
いつもの暮らし便

本間純子 いつもの暮らし便
第34回「1日2470個のご飯粒」。食品ロスについて考えてみましょう。

連載 行政書士
池田玲菜の見た世界

行政書士池田玲菜の見た世界
第32回「読解力と認知特性」。特性に合った方法で伝えれば、コミュニケーション環境が飛躍的に向上するかもしれません。