叔父という存在

2016年11月18日 10時00分

 明治維新で精神的支柱の役割を果たした幕末の思想家吉田松陰は、幼少のころ叔父玉木文之進に厳しく鍛えられたという

 ▼玉木という人物は松下村塾の創設者で、幼くして山鹿流兵学師範の吉田家当主となった松陰の後見役でもあった。もともと優れた知力体力を備えていた松陰だったが、玉木の薫陶を受けて才能が花開いたそうだ。子育てでは時に叔父が実の親以上にその子の人生に影響を与えることがあるらしい。人生を左右する一大事といえば、職業選択もその一つだろう。やはり叔父の存在が建設業界に飛び込むきっかけとなった技術者たちの話を、少し前、本紙に載った「私たちの主張―未来を創造する建設業―」で読んだ。国土交通大臣賞を獲得した2作品である

 ▼佐藤工業(福島県)の吉成健さんは、幼いころ叔父とよく一緒に出掛けたそうだ。自らが施工に関わった場所に行くと誇らしげに紹介する叔父は、吉成さんにとって憧れの「ヒーロー」。いつか自分もと考えるようになっていったという。加賀建設(石川県)の寺田智子さんの叔父はゼネコンで長年現場監督を務めていた。「大勢の人が一緒に頑張ったからこそ今、地下鉄が走りよる」。目を輝かせて建設の喜びや誇りを語るのが常だったそう

 ▼二人は今建設の道を歩み、吉成さんは東日本大震災の災害復旧で人々の生活を取り戻すのに奮闘。寺田さんは現場でチームプレーの奥深さに魅せられ「この業界は本当にカッコイイ」と胸を躍らせている。きょうは「土木の日」。叔父さんはじめ多くのヒーローたちに思いをはせたい。


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