富山の発砲事件

2018年06月28日 07時00分

 小学校の耐震化工事を安全、円滑に進めるため、警備員が出入り口付近で人や車両を誘導している―。本紙の読者にとってはなじみのある風景でないか。まさかそんな現場で白昼、惨劇が起きるとは

 ▼富山市久方町の交番で、警察官が刃物を持った若い男に拳銃を奪われた事件のことである。最初に刺された富山中央署奥田交番所長の稲泉健一警部補と、奪われた拳銃で撃たれた警備員の中村信一さんが犠牲になった。何と荒っぽい犯行だろう。逮捕されたのは元自衛官でアルバイト店員の島津慧大容疑者(21)。交番の裏口から押し入って稲泉所長をめった刺しにし、拳銃を強奪したその足ですぐ斜め前にある奥田小に向かったらしい

 ▼交番で何があったかは知る由もなかったろうが、中村さんは警備員として不審者の侵入を止めようとしたに違いない。正門付近で発砲を受け倒れていたそうだ。もし中村さんがいなかったら被害はもっと大きく深刻だったかもしれない。昼間のことゆえ学校にはまだ児童がいた。今月は若者による異様な犯罪が相次ぐ。9日に新幹線で3人を殺傷した22歳の男、19日に小4の男児に重傷を負わせた18歳の男、そして26日である。いずれも心のタガが外れたように、憎しみと暴力性をそのまま他者にぶつけているようなところが気に掛かる

 ▼新幹線でも今回の事件でも、結果としてごく普通の人たちが身をていして被害を小さくした。命が助かれば良かったのは言うまでもない。本人や遺族にとっては美談も空しいだけだろう。ただやはり、彼らの勇気には深く敬意を表したい。


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