サンマ漁獲枠

2017年07月19日 09時08分

 ポップス調の歌で魚を題材にしたものはあまりないと思うが、以前よく聴いていた音楽集団「上々颱風」には「秋刀魚の唄」というのがあった

 ▼付き合っていた人と別れた女性が、一年前は黒焦げのサンマ1匹を二人で分け合って食べたのに、ことしはご飯をお替わりしながら10匹を一人で食べている、との歌詞だ。塩と涙と焦げと追憶が一緒になっているのだろう。サビでは「サンマ苦いか塩っぱいか」を繰り返す。札幌市内のホテルを会場に15日まで開かれていた国際機関「北太平洋漁業委員会」の第3回会合で、日本が提案していた関係国間のサンマ漁獲枠設定が合意に至らなかったとの報を聞き、その歌を思い出した。苦い結果のせいである

 ▼近年、中国などが北太平洋公海でサンマを先行して大量に捕ってしまうため、日本近海での漁獲が大幅に減っているのだという。海に線を引くわけにもいかないから漁獲枠で歯止めを、との狙いだが、国の利害が絡む事だけに簡単にお付き合いとはいかないようだ。昔の話だが、釧路に住んで間もないころ、小さな居酒屋で焼きサンマを食べていて店主に叱られたことがある。はらわたを残していたためだった。新鮮ならはらわたまでうまいと知ったのはそのときのこと。あのほろ苦さもまた格別である

 ▼無駄なく食べられる上に値段が手頃で味も間違いなし。そんなサンマが各国のわがままによる乱獲で姿を消してしまうのはばからしい。「サンマ苦いか塩っぱいか」。いや、一年後の次回会合では皆が知恵を出し合って「うまい」取り決めをしてほしい。


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